巨額投資に見合う活躍を期待させた。ソフトバンクの徐若熙投手(25)が1日の楽天戦(楽天モバイル最強パーク宮城)でNPB公式戦初先発。6回3安打無失点の快投で来日初勝利を飾った。

 気温10度を下回る投手泣かせの厳しい環境下で、台湾の至宝が強烈なインパクトを放った。糸を引くような自慢の速球は最速155キロをマーク。伝家の宝刀・スプリットチェンジもさえて6三振を奪い、5回まで二塁すら踏ませなかった。「捕手の海野さんがすごくいいリードをしてくれて、すごく投げやすかった」。真っ先に女房役を立てた上で「これからいろんな状況が出てくると思うが、しっかり対応していきたい」と冷静に足元を見つめるあたりに、将来的なメジャー挑戦を視野に入れる25歳のただならぬ存在感があった。

 昨オフに台湾・味全ドラゴンズから海外移籍制度(ポスティングシステム)を申請して日米大争奪戦に発展した世界的逸材。MLB最強軍団・ドジャースの名だたる球団幹部らがシーズン最終盤まで毎週のように台湾入りして視察を重ねた事実は重く、ソフトバンクが巨額の資金を投じて取りきった投手だった。味全に支払われる「譲渡金」を含めれば最大で3年総額20億円超(推定)。ドジャースが獲得資金として見積もっていた額に近い「市場価値」だった。

 一足先にベールを脱いだ今春WBCでは、世界の王の度肝を抜いた。1次ラウンド開幕戦のオーストラリア戦で4回2安打無失点。王貞治球団会長は「もっと真っすぐで押す投手と思ってたんだけど、巧みに変化球を駆使して、ああいう丁寧な投球もできる。勝てる投手」と総合力を高く評価し、とりわけ国際舞台で真価を発揮した勝負強さに舌を巻いた。

 WBCから帰還後に右腕の状態を見極め、開幕ローテーションを託した小久保監督は「自分のデビュー戦を自分で飾った。センスを感じたし、本当に頼もしい」と最敬礼。最初が肝心とばかりに、台湾の至宝が「20億円の価値」を証明した。