バットは沈黙し、悩みだけが雄弁だった。パ4位の日本ハムは15日の西武戦(エスコン)に0―3で零敗。首位を0・5差で追走する2位・ライオンズの勢いに飲み込まれ、3年ぶりとなる7連勝を許した。郡司裕也捕手(28)は「6番」で3試合ぶりにスタメン復帰したが、2打数無安打1四球1三振に終わり、守備でも失策を記録。チームがわずか2安打に封じられた夜は、長引く不振の重さを映していた。

 プロ7年目の巧打者は昨季中盤から打撃が覚醒し、111試合で打率2割9分7厘、10本塁打、42打点をマーク。今季は新庄剛志監督(54)から「開幕4番」に抜てきされ、打線の中核として期待を背負った。だが、シーズン序盤から本来の姿を取り戻せない。13日からは2日続けて二軍戦に出場し、打撃フォームの微調整に取り組んだものの、41試合で打率2割3分9厘、2本塁打、9打点。昨季の勝負強さとは距離がある。

 本人は不振の要因を「意識と現実のギャップというか、自分の感覚とのズレ」と説明する。「いつも打っているポイントかと思ったら、実はちょっと入られていたり、打てると思ったらボール球だったり。今はその辺のギャップを少しずつ埋めている段階」と胸中を明かしている。

 低迷の理由は本人の感覚だけでは片づかない。チーム周辺では「前を打つレイエスの存在も大きかったのではないか」との見方もある。郡司は開幕から約1か月間、4番を務めたが、その間に主に3番に座っていたのが、昨季リーグ2冠に輝いたフランミル・レイエス外野手(30)だった。相手バッテリーがレイエスへの警戒を強め、勝負を避ければ、そのしわ寄せは次打者に向かう。郡司への攻めがより徹底された可能性は高い。

 ある球団OBも「レイエスが警戒されて出塁すると、次の郡司はどうしても厳しい攻めを受ける。これは主砲の後ろを打つ選手の宿命です。ただ、この試練を乗り越えてこそ中軸打者として認められる」と指摘する。

 郡司自身も「今年は内角攻めが特に厳しいですし、『絶対に打たせない』という配球で来ますから」と受け止める。その上で「その攻めに僕が対応しないといけない」と前を向く。

 今後はレイエスの直後に固定される形ではなくなり、打順面の重圧は変わる。とはいえ、内角攻めをはね返せなければ相手の包囲網は緩まない。4番を任された男の沈黙が長引くのか、それとも苦悩を成長の材料に変えるのか。郡司の再浮上は、日本ハム打線の反発力を占う焦点になっている。