勝ってもなお、視線は先にあった。阪神・才木浩人投手(27)が31日のDeNAとのホーム開幕戦(京セラ)に先発。6回に3番・筒香嘉智外野手(34)にソロ本塁打を許したが、4安打1失点と試合をつくり、4―1の勝利に貢献した。これでチームも3連勝。先発としての責任を果たす、粘投で今季初白星を手にした。
試合後は「(今季)最初なので、いいピッチングをしようという意識が強すぎた。力み散らかしてました」と苦笑い。それでも「感覚や出力自体はよかったですし、チームが勝てたのでよかったです」と胸をなで下ろした。反省を口にしながらも、手応えは確かにつかんでいた。
昨季は最優秀防御率のタイトルを獲得しながら、今オフのWBC日本代表「侍ジャパン」入りはかなわなかった。結果を残しても届かなかった現実。その悔しさを抱えたままでは終わらない。右腕は新たなシーズンを、自身の価値をさらに押し上げるための時間と位置づけている。
視線の先にあるのは、2027年のプレミア12、28年ロサンゼルス五輪、そして次回WBC。ただ、代表入りそのものをゴールには据えていない。「今回の自分みたいに、出るか出ないかの権利が向こうにある状態って、自分自身のレベルが1個低いなってすごく感じるので…」と率直な思いを明かした。
才木が目指しているのは、単に候補に入る立場ではない。代表側から「出てほしい」と求められ、最後は自らのコンディションで判断できるだけの確固たる地位だ。「プレミアもそうだし、オリンピックとか次のWBCもそうだし、向こうから『出てほしい』と言われて、あとはそっちのコンディションで決めていいよ、というところにいきたい」と力を込めた。
そのためには、誰もが認める実績と実力を積み上げ続けるしかない。「それぐらいの結果とか実力を身につけたいし、自分の現状の実力をしっかり把握して、よりいいパフォーマンスを出せるようにやっていきたい」
現状認識は冷静で、言葉に浮つきはない。最後も「今回選ばれてないっていうのは現実だし、その程度の実力ってこと。自分はもっと頑張らないといけないと思います」と自らに言い聞かせるように締めた。
勝っても満足はない。阪神を頂点へ導くため、そして理想の投手像へたどり着くために、才木は腕を振り続ける。












