ようやく〝侍の輪〟の中に戻ってきた。3月開催の第6回WBCで世界一連覇を狙う侍ジャパンは26日、バンテリンドームで全体練習を実施。この日から合流したカブス・鈴木誠也外野手(31)は打撃練習こそ回避したが、シートノックでは中堅に入り、コンディションを確かめながら動いた。初日から無理にギアを上げず、必要な確認を淡々と積む――。この慎重さ自体が、前回2023年の第5回大会をケガで辞退した「宿題」を物語っていた。
練習後の会見で鈴木が強調したのは、過去ではなく今回だ。「いい状態で来られた」「チームのため、ジャパンのために全力を尽くす」。これらの言い回しは、簡潔ながらも熱量は高い。欠場の悔しさを引きずるのではなく自らの役割を鮮明にし、何としてでもチームに貢献するという姿勢がにじんだ。
象徴的だったのは、会見に同席した大谷翔平投手(31=ドジャース)との並びだ。同じ1994年生まれ。鈴木は質問のたびに大谷の答えを受け止め「同じです!」と呼応して場を和ませた。これまでも冗談めかして「翔平がしっかりお金を出して。1000億ですから」と〝支払い役〟に大谷を指名していた「決起集会開催」の話題についても、この日の会見であらためて触れ「彼ならやってくれると信じております」と笑いを誘う場面もあった。
そこに大谷が「まずは勝つことが大事」と正面から返すと、一方の鈴木は「なんかすみません」と照れ笑いで締める。主役を奪い合うのではなく、空気を整えて一つに寄せる。鈴木は、その〝潤滑油〟を自分の役回りとして引き受けている。
大谷、吉田正尚外野手(32=レッドソックス)らメジャー組が合流し、代表は一気に完成形へ近づいた。その中心で鈴木が示したのは派手な言葉ではなく、欠場の記憶を背負った者だけが出せる覚悟の輪郭だ。打席に立つ前から、今季でMLB6年目を迎える31歳の通算2度目となるWBC挑戦はもう始まっている。












