ドジャースは「金で野球を壊した」のか。同球団のアンドリュー・フリードマン編成本部長(49)が、積極補強を巡る〝悪役扱い〟に猛反論した。

 米人気ポッドキャスト番組「ザ・ダン・ル・バタード・ショー・ウィズ・スタゴッツ」に出演し「我々の高年俸に腹を立てる人は、結局オーナーがもっと金を懐に入れればいいと言っているだけ。全く理解できない」と強調。球団の黄金時代構想を掲げつつ、主力がそろう「特別な時間」を永遠と楽観せず現在と未来の両方に目を配りながら、2026年のワールドシリーズ3連覇へ攻めの姿勢を崩すつもりは毛頭ない――。それが動編成本部長の哲学だという。

 ただ、この物語はグラウンド上におけるMLBの戦いだけで完結しない。現行の労使協定(CBA)は米東部時間26年12月1日23時59分に失効予定で、次期交渉ではオーナー側がサラリーキャップ導入を模索するとみられる。補強資金の多寡(たか)は、リーグ全体の「公平性」の議論に直結する。

 一方で、ドジャースオーナーのマーク・ウォルター氏(66)がMLB随一の大富豪というわけでもない。推定純資産はメッツのスティーブ・コーエン氏(69)が約230億ドル(約3兆5800億円)で首位。ブルージェイズの親会社ロジャース・コミュニケーションズが約190億ドル(約2兆9500万ドル)、カブスの筆頭株主であるジョー・リケッツ家が約80億ドル(1兆2400億円)と続き、ウォルター氏は70億ドル強(約6207億円以上)で4位と報じられている。ドジャースだけが「金満球団」と揶揄されるのは筋違いであり、常に「企業努力」を絶やさずまい進し続けているからこそ今の栄光がある――というのがフリードマン編成本部長の〝独論〟だ。

 熱量もまた規格外だ。フリードマン氏は昨年のワールドシリーズ第3戦で延長14回にウィル・スミス捕手(30)の放った打球が「入った」と錯覚した直後に失速し、ドジャースタジアムのスイートルームで悔しさのあまりに思わずバースツール(背の高いイス)をたたきつけたことも告白している。結局、同シリーズは第7戦までもつれた死闘となり、ドジャースに軍配が上がった。

 こうしたエピソードが示すように要職に就いていながらも球団への思い入れは、誰よりも強い。だからこそフリードマン編成本部長は、ドジャースに対する補強批判を看過することができないのだ。

 今オフもフリードマン編成本部長が押し進める巨大補強は「勝つための正当化」ではなく「勝てるうちに勝つ」という宣言でもある。一方でCBA改定が近づくほど、ドジャースの一挙手一投足が次の常識を揺らすことになるだろう。悪役か、それとも改革者か――。答えは、また秋に数字で出る。