たぎる思いを抑えて、冷静に判を押した。ソフトバンク・杉山一樹投手(28)が19日に福岡市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、4000万円アップの年俸8000万円でサインした。

 今季はリーグ最多65試合に登板して31セーブ、防御率1・82の好成績をマーク。6月の交流戦から不振のオスナに代わって守護神を務め、最多セーブ投手のタイトルを獲得した。50試合以上に登板して防御率1点台は、2年連続。ハイパフォーマンスでブルペンに安定感をもたらし、チームのリーグ連覇と5年ぶりの日本一奪回に大きく貢献した。

 交渉後の会見で杉山は「金額のことよりも話したいことがあったので、そこを(メインに)話しました」ときっぱりと言った。この日、将来的なメジャー挑戦希望を改めて直訴。「誰もが何か(模索)していると思うんですけど、アメリカでトライしてみたいという気持ちは強いです」。ホークスは12球団で唯一ポスティング移籍を容認していない。海外FA権の取得は最短で2031年シーズン中。メジャーのマウンドに立つのは早くても34歳ということになる。

 杉山が「師匠」と呼ぶOBの千賀滉大投手(32=メッツ)はポスティング移籍を要望してから5年後に海外FA権を行使して海を渡った。経緯を知るだけに「ポスティングは前例がない。僕がそれをいきなり破るというのも難しい」と球団の姿勢を尊重した上で「何点か僕の方から提案させてもらっている」と、近日中に球団と特別に面談を行うことが決まった。

 この日、杉山が一貫していたのは「球団とはなるべく穏やかに話していきたい」という姿勢だった。声高に主張するのではなく「自分のパフォーマンスが良い限り、チャンスがあれば海外に挑戦したい」と謙虚に訴え、高い評価に感謝の言葉を繰り返した。

「契約をしてもらった球団に、恩返しすることがまずは一番」と語った杉山。一方で、右腕の意思を再確認した三笠GMは「そういう気持ちを持つことは、今の時代自然なこと」と理解を示した。平行線をたどることが予想されるが、特別面談で歩み寄りを目指す。(金額は推定)