【取材の裏側 現場ノート】WWEスーパースターのイヨ・スカイは、10月のマリーゴールド両国国技館大会で〝プロレス界のアイコン〟岩谷麻優(32)と歴史的激闘の末に勝利した。イヨが「妹みたいな存在」と言う岩谷と家族レベルのつながりが生まれたのは、紫雷イオ時代にスターダムで数えきれない苦楽をともにしてきたからだ。

 イヨは「今のスターダムを知ってる方は信じられないと思うんですけど、選手が少なくなった時にカイリ(カイリ・セイン)、イヨ、麻優の3人が1日で2試合やってた時代があったんですよ」という。2016年5月の欧州遠征では連日2~3時間睡眠の中、岩谷と相部屋で寝食をともにした。「もう戦友であり家族。語りつくせない共通の思い出と乗り越えてきた時代があります」

 しかし、スターダムと女子プロレス界の未来を考えるイヨにとって〝決断できない〟岩谷の姿がふがいなく映った時期もあった。「『もうトリマーになる!』とか言って試合に来なくなったりしたんですよ。今思うと、そんなの若い女の子の人生にあって当たり前なんですけどね。それをマンションの前まで行って『行くよ!』って試合に引っ張っていったりして…」と振り返る。「試合にも来れない。でも、もうプロレスラーを辞めることもできない。それぐらい何も決心できない子に見えた時期もあったんです」と遠い目をした。

 その後、イヨは18年にWWEへ移籍。2人は別々の道を歩むことになった。だからこそ今年1月、岩谷からマリーゴールド移籍を相談されたときは驚きとともに大きな喜びがあった。「岩谷麻優の人生史の中で、そんなところ、見たことなかったんですよ。私が米国にいる間に、彼女も本当の〝アイコン〟になったんだなって。だからもう『お赤飯だね』って言ったんです」と、人生に一度クラスの大決断をたたえたのだった。

 両国大会では対角に立ったが、試合後、岩谷から名タッグ「サンダーロック」の再結成を呼びかけられた。いつか2人が同じコーナーで並び立つ姿を期待している。

(運動部・長友誉幸)