新日本プロレスの後藤洋央紀(47)が、IWGPヘビー級王者の辻陽太(32)にイデオロギー闘争を呼びかけた。各所で賛否を呼び続ける辻の言動に対して、主義主張の違いを展開してきた荒武者は「G1クライマックス」Aブロック公式戦(18日、札幌)でついに直接対決の時を迎える。キャリア24年目を迎えたベテランの譲れない思いとは――。

 開幕戦(11日、米シカゴ)でSANADAを下し白星発進を飾った後藤は、国内初戦の札幌大会で辻との大一番を迎える。今年1月にIWGP世界ヘビー級王座を〝分解〟するなど刺激的な言動を貫く王者には思うところがある。

 本紙の取材に「『新日本を背負うんだ』と口では言ってますけど、逆に彼が叫ぶたびに覚悟がどんどん見えなくなってる。彼は〝内部〟のことに入り過ぎというか。俺たちレスラーは、戦いでしか見せられないんですよ。お客さんの目に入らないところでやっていても、まったくノれないじゃないですか」と痛烈な言葉を並べた。

 象徴的なのが2月大阪大会後に辻が発した、当時の親会社ブシロードに対する「俺たちレスラーはな、カードゲームのカードじゃねえんだよ!」という禁断発言だ。主力選手の相次ぐ退団に危機感を抱き一石を投じる狙いがあってのものだったが、後藤は異を唱える。「あそこでトップの人間が言うべき言葉ではなかったのかなと。お客さんは『何があったんだ』としか思わないし、謎しか残らない。せめて(その後の)リングで消化してほしかったですね、俺は」

 さらに、6月にAEWとの合同興行「Forbidden Door」(米サンノゼ)で、辻がボイコットを示唆する発言を繰り出し、結果的に防衛戦が組まれなかったことも後藤の美学に反するという。「俺の中ではあり得ないというか。『いつ何時誰の挑戦も受ける』というIWGPの理念にもとづいた王者でいてほしかった。俺の理想とはかけ離れていたかなって」と挑戦者や試合順を選ばず乗り込むべきだったとの見方を示す。

 もっとも、辻の言動を全否定しているわけではない。後藤は「これは決して文句じゃないんですよ」と強調。「年齢も一回り違うんだから、主義主張の違いはあっていいんです。そこはリングで決着つけようという話。ただ『新日本を背負う』だなんだと言ってるけど、一人で背負ってると思うなよ」と宣戦布告した。

「本当は辻と同世代の人間が、もっと主張しなきゃいけないんじゃないのかって思いもありますけどね。それとも、あの世代はみんな辻と同じ思いなのか…。こんなこと言うと老害って言われるのかもしれないけど、それでも俺は自分の思いを貫くだけです」。新時代に突入し、新体制も発足したセルリアンブルーのリングで、貫き続けてきたレスラーとしての矜持を王者にぶつける。