新日本プロレス14日の大阪城ホール大会で行われたIWGPヘビー級王座戦は、挑戦者の辻陽太(32)がカラム・ニューマン(23)を撃破し第89代王者に輝いた。改めて団体を背負う覚悟を表明した辻は、30日付でテレビ朝日の連結子会社となる新体制での〝改革〟を熱望。リング上では最高峰王座の価値向上を公約に掲げ、米国・AEWとの合同興行「Forbidden Door(FD)」(28日=日本時間29日、カリフォルニア州サンノゼ)での防衛戦に対して否定的な姿勢をみせた。

カラム・ニューマン(上)を新技ファイヤーブラスターで仕留めた辻陽太
カラム・ニューマン(上)を新技ファイヤーブラスターで仕留めた辻陽太

 4月の両国大会でベルトを奪われたカラムとの雪辱戦。辻は左肩を痛めながらオスカッターを放ってきた王者を、カウンターのジーンブラスターで迎撃する。新技ファイヤーブラスターで3カウントを奪うと、幾度となく繰り返してきた「新時代」の封印宣言を繰り出し、「この新日本プロレスが迎える新時代を背負う覚悟、できてるに決まってるだろ!」と豪語した。

 1・4東京ドームで棚橋弘至が引退し、5月には親会社のブシロードが全株式をテレビ朝日とサイバーエージェントに売却することを発表。新日本はリング内外で新時代に突入した。取材に辻は、社内改革の必要性を熱弁する。「まず選手の流出を防ぐことが大事だと思うんです。みんな新日本のことが好きだけど、1年で稼ぐ金額を1か月で稼げると提示されたら、プロとしてそっちに行くのも当然だと思うんですよ。全く同じとまではいかなくても、流出が防げるくらいの待遇はしてもらいたいと思いますね」と期待する。

「世界一のプロレス団体を目指すのであれば、社員もふさわしい待遇を受けてほしいので。今の雇用状況を詳しくは知らないんですけど、自分のサラリーマン時代の経験を踏まえてみなし残業をなくしてほしいというのはすごくあります」と訴えた。

棚橋弘至社長(右)からベルトを受け取った辻陽太
棚橋弘至社長(右)からベルトを受け取った辻陽太

 もちろん要望するだけではなく、体を張って団体を盛り立てるつもりだ。辻は「リングの外も中も新時代ということで、攻めていかないといけないだろうなと思いますし、われわれレスラーも今までと違うものを見せていかなきゃいけないですよね。ただし新日本プロレスが失ってはいけないものはしっかり守っていかないと、と思います」と持論を展開する。

 その公約の第一歩として、FDの〝ボイコット〟を示唆する。「過去を振り返ってくださいよ。4WAYだったり、オープンチャレンジだったり、リタイアした選手が挑戦したり…。FDでこんな扱われ方をしているIWGP戦を俺がやると思いますか? 俺はIWGPヘビーを復活させた男として、その価値を守らないといけないんです」。仮に辻の主張通りIWGP戦が行われなければ、22年から始まった合同興行で初めてのこととなる。

 これまでもAEWへの対抗心をあらわにしてきたが、決してすべてを否定しているわけではない。「トニー・カーン(AEW社長)のことは好きですよ。一度だけ(24年大会で)FDに出たことがあるんですけど、その時はゼロアワー(第0試合)にもかかわらず選手のところに来て『俺は君のファンなんだ。来てくれてありがとう』って言ってくれて。少なからずAEWから新体制でも参考にするところはあると思いますよ」と、是々非々で向き合っていくつもりだ。

 新時代の扉を開いた変革者が背負うのは、未来ではなく現在。揺るぎない覚悟を抱き、転換期を迎えた新日本をけん引する。