新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス」29日大阪大会のAブロック公式戦で、IWGPヘビー級王者の辻陽太(32)がYuto―Ice(29)との「Unbound Co.(UC)」同門対決を制し3勝目を挙げた。

 固い絆で結ばれた者同士だからこその戦いだった。試合開始早々に辻がチョップを打ち込むと、Iceが「効かねえよ、バーカ!」と挑発。この声に呼応するかのように、辻は鬼の形相でオーバーハンド、逆水平のチョップを乱打していく。胸を突き出し続けるIceの胸板は、瞬く間に紫色に変色した。

 辻のチョップとIceの蹴り、互いに一歩も引かない打撃戦は、時間の経過とともに激しさを増していく。壮絶な打ち合いからIceが繰り出したCruella(低空シングルドロップキック)に、辻はカウンターのジーンブラスターを発射。しかしこれを返されると、追撃のジーンブラスターを膝蹴りで迎撃され、Cruellaで大ダメージを負った。

 立ち上がった辻が再度のCruellaにカウンターの掌底を叩き込むと、Iceもハイキックで応戦。ならばとファイヤーブラスターをさく裂させたが、カバーに入ることができずにダブルダウンの状態に。わずかにダメージが浅かった辻がカウント9で立ち上がりKO勝利を収めた。

 満身創痍の辻はIceとともにリングに倒れこみながらマイクアピール。「Iceのレスラーとしてのプライド、覚悟、感じたぜ。ありがとな。もう右手の感覚がまったくない。おそらくお前の胸は何も感じないだろう」と感謝を口にした。

 そして「このG1で俺は毎回自分のベストを超えるつもりで戦っている。だからこそ俺は自分に問いただす。覚悟はいいかと。俺たちはプロレスラーだ。プロレスラーにしかできないことがある。相手の技を最後まで受けきること、何度倒れようが、何度打たれようが立ち上がること。それが俺たちにできる唯一のことなのかもしれない」と矜持をのぞかせると、Iceに肩を貸して2人で退場した。大会を配信していた「NEW JAPAN WORLD」の関係者によれば、辻がIceに叩き込んだチョップの数は270発を超えたという。UCの同門対決は、見る者の記憶に残る真夏の夜の激闘となった。