別れの間際まで〝特別な存在〟だ。広島の田中広輔内野手(36)と松山竜平外野手(40)の2人が今季限りで退団する見込みとなった。

 田中は今季12年目、一方の松山も18年目。ここまで広島一筋であることに加え、2人は2016~18年のリーグ3連覇の大功労者だ。田中は不動の「1番・遊撃」として16年から3年連続のフルイニング出場。松山も中軸に欠かせぬ1人として、3連覇時には3年連続で2桁本塁打をマークするなど、攻撃の要となっていた。

 ただ、近年はともに一軍での出場機会が減少していた。今季に至っては田中がわずか14試合。松山は一軍出場がなく、ともに球団の来季構想から外れていた。

 とはいえ、球団にとって2人がかけがえのない功労者であることに何ら変わりはない。9月以降は鈴木本部長が窓口となって本人たちと複数回にわたり話し合いを続けたが、最終的には2人の現役続行への意思を尊重。10月が各球団ともドラフト会議や来季へのチーム編成に本腰を入れる時期でもあることから、球団側は「フリーになることを1日も早く球界に知らせるべき」(関係者)と判断した。その上で本人たちの了承も得て来季契約を結ばない方針を固め、1日にも発表される運びとなった。

 第1次戦力外通告は育成や二軍選手が一般的。広島も同様で球団関係者は、それらの選手とV3戦士の2人を〝同格〟として扱うことには相当な葛藤もあったという。だからこそ別れ際まで配慮する点については抜かりない。

 例年通りならば戦力外通告を受けた選手はその後、松田元オーナー(74)のもとへあいさつへ向かうのが慣例。これまでの感謝を伝えて次の道へと進むことになるが、田中と松山については第1次の段階で戦力外通告を受ける他の選手と同日ではなく、別の日に設定された。

 松田オーナーにとっても3連覇戦士への思い入れは、もちろん特別だ。今季を振り返った場においても、3連覇達成以来の50試合登板で奮闘したベテラン・中崎翔太投手(33)の名前を挙げ「3連覇の時は抑えをして、いまは貴重な中継ぎで活躍してくれて。感無量だよ」と述べていた。

 V3戦士の存在は、歳月が経過した今でも特別。ここまで赤ヘル一筋の田中と松山に対し、積もる話も当然ながらあるはずだ。最後まで敬意を持って、V3戦士の2人を第2の野球人生へ送り出す。