阪神が圧倒的な強さで2年ぶり7度目のリーグ制覇を成し遂げた。指揮官就任1年目の藤川球児監督(45)を支えたのは背広組も同じ。長年にわたり猛虎の編成部門のトップとしてらつ腕を振るってきた嶌村聡球団本部長(58)が思いを明かした。

「若き指揮官、藤川球児監督で勝てたことが最大の喜び。そこに尽きる」。嶌村本部長は胴上げで5度宙を舞った藤川監督の姿に目を細めていた。

 両者の出会いは1998年のオフ。ドラフト会議で藤川青年が高卒ドラ1で指名された時、嶌村氏は野村克也監督の監督付広報として現場を飛び回る多忙な日々を過ごしていた。当時の阪神は「暗黒時代」と呼ばれる大低迷期のど真ん中。「怖いんですよ。あの時代を知っているだけに」。黄金時代に突入した今も、編成責任者として危機感は常に抱き続けているという。

 現在の好調なチーム状況を語る上で避けて通れないのが、球団史上空前の大当たりドラフトとなった〝花の2020年組〟の存在だ。佐藤輝、伊藤将、村上、中野らは今季もチームの主力としてフル回転。8位でしんがり指名された石井は、チームのセットアッパーとして48試合連続無失点記録のNPBレコードを今も更新している。

「あの時は矢野監督(当時)が見事に佐藤輝のクジを当ててくれて…。もし外してたらと思うとゾッとするわ(笑い)。ドラフトには運が絶対に必要ですよ。毎年毎年20年の時のようにうまくいくわけがない」と語った嶌村本部長だが「だからこそ我々編成は常に、チームに必要な補強ポイントとグランドデザインを見極めた上で、クジが外れた時のプランB、プランCを用意しておく必要がある。スカウトは高校、大学、社会人の各カテゴリーの投手、捕手、内野手、外野手をランク付けしたリストを作り、そこから編成担当者が責任を持って選手をピックアップする」と背広組の役割分担を説明する。

 近本は18年ドラフトの外れ外れ1位。森下は22年の外れ1位。「今年はセンターラインを強化したい」「今年は右打ちの外野手を獲得したい」という強固な構想があったからこそ、残り福を引き当てることができた。

「チームには停滞期→変革期→過渡期→黄金期のサイクルが必ずある。継続的に強いチームをつくるため、対症療法的な補強が必要な時期が来ればFAにも乗り出しますよ」。そう語った嶌村本部長は「次世代へバトンをつなぎたい」と継続的なチーム強化への思いと、フロントのグランドデザインの必要性を何度も訴えた。