阪神・大山悠輔内野手(30)が21日の巨人戦(甲子園)で4打数3安打2打点と気を吐いた。直近の4戦で計15打数8安打と復調気配で、打率も2割5分9厘まで上昇させた。とはいえ、昨オフに5年総額17億円(推定)で残留した背番号3は全42試合に出場してわずか1本塁打。本紙評論家の伊勢孝夫氏が指摘した課題とは――。
【新IDアナライザー・伊勢孝夫】本塁打数だけでなく長打率3割4分8厘(セ規定打席到達打者26人中18位)、OPS.681(同17位)と大山らしくない寂しい数字ばかりが並ぶ。現状の打撃でも三塁キャンバスを抜くような二塁打までなら打てるだろう。
だが、左中間を深く割ったりフェンスをオーバーするような打球は期待できない。昨季までの打撃フォームと比較すると、はっきりとした相違点が浮き彫りになる。
①テークバックの際に、去年までは頭の後ろまで戻っていたバットのヘッドが、今年はその位置まで戻り切っていない。
②変化球を打つ時に「間」をつくるための前足のステップに狂いが出ているため、下半身の力が上半身へ伝達できていない。
今年でプロ9年目となる大山だが、肉体や目に衰えが出ているとは思わない。原因はあくまでもわずかなメカニックのズレの連鎖によるものだとみる。ここ数試合の打棒復調は16日の広島戦(甲子園)まで使っていた魚雷バット(トルピードバット)を使わなくなったこととも無縁ではないだろう。
私も現在指導に当たっている大阪観光大野球部に届いた実物を手に取ったことがあるが、バットの重心を通常よりも下に置いたコンセプトそのものは、否定すべきものではないと思う(その後すぐに倉庫に放り込んだままになっているが…)。
ただ、野球人にとってバットは体の一部そのもの。一朝一夕で使いこなせるものではないことは、ここまでの魚雷バットのNPBでの〝実績〟が物語っている。いくらプロでもシーズン終了後の秋のキャンプ、冬の自主トレから体になじませないと使いこなせる代物ではないだろう。
チームは4―5で惜敗してしまったとはいえ、大山は2戦連続の猛打賞。全てが単打だったが、状態は徐々に上がってきているとみていいだろう。5番に座る大山が、相手バッテリーに〝怖さ〟を与えられる打者でないと、その前に打つ4番・佐藤輝や3番・森下への配球はこれまで以上に厳しくなる。一日も早い完全復活と今季2本目のアーチを期待したい。
(本紙評論家)












