プロ野球の日本シリーズは4日の第6戦から再び京セラドームに舞台を移し、阪神とオリックスが相まみえる。3勝2敗として38年ぶりの日本一へ王手をかけた阪神が悲願を達成するか、それともオリックスが逆王手をかけるか。注目が集まる中、本紙専属評論家の伊原春樹氏は日本中が盛り上がる〝関西シリーズ〟を「凡ミスだらけ」と苦言を呈した。

【新鬼の手帳・伊原春樹】阪神が3勝2敗と王手をかけた日本シリーズは第3戦以降、いずれも接戦だったこともあり、ファンの皆さんも盛り上がっている。だが、私はあえてこう言いたい。「こんなにエラーだらけの日本シリーズはこれまであっただろうか。凡ミスだらけで情けない!」

 セ、パのチャンピオンが日本一をかけて戦う日本シリーズは、プロ野球最高の舞台のはずだ。阪神・岡田監督、オリックス・中嶋監督の采配や駆け引きの妙、各選手のレベルの高いプレーを期待していた。ところが5試合で失策数は14(阪神8、オリックス6)。正直、これにはがっかりだ。

 第2戦では阪神の遊撃手・小幡が何でもない遊ゴロをトンネルしたが、打った瞬間に前へ出ていけばどうってことのない打球。だが、人工芝でイレギュラーもないから、少々スタートが遅れても何とかなってしまう。安易に打球に合わせにいったために、後逸してしまった。内野ゴロは前に出て正面で捕球するのが基本だが、それができていないから、あのようなミスが起こる。

シリーズ第2戦でエラーを記録した阪神・小幡
シリーズ第2戦でエラーを記録した阪神・小幡

 これはほんの一例で、落球にファンブル、バント処理からの悪送球などのミスも目立っている。普通の内野ゴロでも、一塁塁審のアウトのコールがあるまで両軍ベンチがドキドキしている。こんなに守備に不安のあるシリーズは見たことがない。

 あらためて言うが、日本シリーズはプロ野球最高の舞台だ。華麗なプレー、最高の技術のぶつかり合いを誰もが見たいはずだ。

 私が西武のサードベースコーチを務めた1993年、ヤクルトとの日本シリーズ第4戦のことは今でもよく覚えている。0―1と1点ビハインドの8回二死一、二塁の場面で鈴木健が中前打。ヤクルトの中堅手・飯田は定位置より少し前の守備位置で、二塁走者は俊足の笘篠誠治。勝算は五分五分。それでも勝負をかけて私は手を回した。飯田の矢のような返球はダイレクトで古田のミットに吸い込まれ間一髪「アウト!」。飯田の強肩にやられたと思ったが、あれぞまさにプロフェッショナルのプレーだった。

 王手をかけた阪神が優勢であることは間違いないが、第6戦にオリックスが勝てばもうどちらが日本一になってもおかしくない。盛り上がっている〝関西シリーズ〟だからこそ、ミスではなくあの「飯田のバックホーム」のように語り草となるプレーを見せてもらいたい。(本紙専属評論家)