日本シリーズ第5戦(2日・甲子園)でオリックスは阪神に2―6で逆転負けを喫し、通算成績2勝3敗で王手をかけられた。本紙専属評論家・伊原春樹氏は中嶋監督の「動く采配」が皮肉ながらも裏目に出てしまっていると指摘した。
【新鬼の手帳・伊原春樹】結果的に評せば「動き過ぎ」だったのかもしれない。オリックス・中嶋監督のことだ。レギュラーシーズンから打順を猫の目のように日替わりで変え、試合中の采配もベンチでちゅうちょすることなく即座に動く。
だが前日の第4戦で9回に指示した「満塁策」に続き、この日も中嶋監督の決断は裏目に出てしまった。2点リードで迎えた8回。好投していた田嶋に代え、ここまで日本シリーズではベンチを外れていた山崎颯を初めてマウンドへ送った。しかしながら先頭の木浪に内野安打を許し、おまけに二塁手・安達の一塁への悪送球で無死二塁。さらに近本の適時打で1点差に詰め寄られ、なおも中野の犠打で一死二、三塁となったところで中嶋監督は山崎颯をスパっと諦め、ここまで2連投中の宇田川をまたも投入した。
宇田川は、この日本シリーズで4試合目の登板。そして今季初の3連投となったが、奏功しなかった。打席の森下に2―2から152キロの直球を捉えられ、左中間を破る逆転の2点適時三塁打を浴びた。もともと宇田川はホップする高めの速球、あるいは落差の激しいフォークで三振が取れる投手。それを分かっていたからこそバッテリーを組んでいた若月は決め球に真っすぐを要求し、ミットを高めに構えていたが、宇田川の投げた渾身のストレートは真ん中低めの〝逆球〟になった。
宇田川の直球は低目にいくとボールが伸びず、垂れてしまう。打者にとっては「打ちごろ」だ。一方の森下は初回の第1打席から快音が響かず、7回には中野とともに〝ダブル失策〟を重ねて相手に2点目を献上するミスまで犯していたが、宇田川の失投によってチョンボを帳消しにすることができた。
阪神・岡田監督はレギュラーシーズンと同じく「静」の姿勢を貫くかのようにルーキーの森下を我慢強く起用し、この日本シリーズでも猛虎打線の中軸を担わせ続けている。対する「動」の采配が持ち味の中嶋監督も普段通りに動きまくりながら、この第4、5戦に限っては勝利の女神に見放され、空回りの連続だ。
阪神が3勝2敗で王手をかけた格好だが、まだ勝負の行方は正直分からない。「動」と「静」の指揮官、どちらに軍配が上がるのか。非常に興味深く見守っている。(本紙専属評論家)












