日本シリーズ第6戦は4日に京セラドーム大阪で行われる。セ・リーグ覇者の阪神はパ王者のオリックスに3勝2敗。球団史上2度目となる日本一まであと1勝としている。実に38年ぶりの悲願達成に王手をかけているわけだが、ポストシーズンに入っても岡田彰布監督(65)が発していない〝NGワード〟が存在するようで――。
ゴールはもうすぐそこだ。決戦を翌日に控えた3日は一部の先発投手陣を除いて休養日とし、激戦続きの岡田監督自身も静養に努めた。
極度の緊張感に包まれ、わずかなスキが命取りとなりかねない短期決戦。千載一遇のチャンスでいっそう手堅さを増しているのが、ほかならぬ熟練指揮官の発言だった。特に18年ぶりの優勝を果たし、ポストシーズンに突入して以降、岡田監督の口から一切発せられていないのが「日本一」のフレーズだ。
例えば、本拠地・甲子園で年内最後の一戦となった2日の第5戦。劇的な逆転勝利を収めて球場内のボルテージが最高潮に達し、いよいよ王手をかけても「日本一」のフレーズは最後まで飛び出さなかった。場内で行われた勝利監督インタビューでインタビュアーが「38年ぶりに日本一に向けて王手をかけました!」と4万人超の大観衆の前で〝誘導〟しても全く乗る気配はなし。「また新たな気持ちでね。京セラドームでこの1年の集大成をゲームにぶつけたいと思うのでよろしくお願いします」と締めくくった。
とはいえ、封印中の3文字は、今まさに目指しているものであることに変わりはない。口は災いのもととばかりに慎重を期す理由は、今年の流行語大賞にノミネートされたチームスローガン「A.R.E.(アレ)」と同様ということだろう。「優勝」とのフレーズを使わず、歓喜の瞬間を迎えるまで〝隠語〟で貫き通してきた。
目標がリーグ優勝から日本一へ切り替わった直後こそ「アレ」に代わるスローガンを「何かいいものがあれば」としていたが、その後は言及せず。「優勝」や「日本一」の言葉は達成した者だけが公言する――。そうした岡田監督なりの〝美学〟があるようだ。
2012年まで3年間務めたオリックス監督時代に味わった苦い経験もある。公式戦の残り1試合に勝てば勝率5割、負ければ借金フィニッシュとなる状況で、当時の球団幹部が試合前に「勝率5割は絶対」と〝願望〟を公言。この発言に岡田監督は「何でもっと謙虚に臨めないのか?」と嫌悪感を隠そうとしなかった。
今回のオリックスとの頂上決戦が決まった際には「今回はこっちがチャレンジしていく立場やろな。向こうはリーグ3連覇して実際、去年の日本シリーズも勝っているわけだしな」と、あくまで自軍を挑戦者と位置づけて臨んできた日本シリーズ。封印中の3文字を口にする時は敵地で「今年の集大成」を見せつけてからとなりそうだ。












