日本シリーズ第5戦(2日・甲子園)は阪神が6―2で逆転勝ちし、通算成績を3勝2敗として38年ぶりの日本一へ王手をかけた。本紙評論家の伊勢孝夫氏は8回に放った値千金の逆転適時三塁打で〝ダブルエラー〟の汚名を返上した森下翔太外野手(23)の肝っ玉を大きくたたえた。
【新IDアナライザー・伊勢孝夫】阪神が2点ビハインドの8回に一挙6点を奪って逆転勝利。38年ぶりの日本一に王手をかけたわけやが、7回に中野と森下の信じられないような〝ダブルエラー〟で0―2とされた時は正直、タイガースの負けやと思った。
7回二死一塁から森のニゴロを二塁手・中野が後逸し、さらにそのボールを右翼手・森下がファンブルして一走・宗が一気に生還したプレーやが、あれは森下が素手でボールを捕りに行ったのが間違い。絶対にグラブで捕球してから投げるべきやった。
私が野村監督の下でヤクルトの打撃コーチを務めていた1990年代、毎年、米国・ユマで行われていたキャンプにはレンジャーズなどメジャー3球団で監督を務めたパット・コラレス臨時コーチが来て指導にあたっていた。元捕手のコラレスコーチが古田や秦に口酸っぱく言っていたのが「バントの打球処理は必ず素手ではなくミットを添えて行うように」ということやった。動きが止まっているように見えるボールでも素手で捕りに行くとお手玉する可能性が高くなる。これはどのポジションでも同じで、どんな打球でもグラブで捕球してから送球するというのが基本だ。
両チームとも力が拮抗しているだけにミスが出たほうが負ける。8回の大逆転劇は先頭・木浪の二ゴロを二塁の安達が一塁へ悪送球したことから始まった。記録は内野安打と悪送球による二塁進塁やったが、安達が普通に送球していれば間違いなくアウト。あのミスがなければオリックスが王手をかけていたかもしれない。
それにしても致命的なミスを犯した森下が8回一死二、三塁の場面で3番手の宇田川から逆転の適時三塁打を放ったのは見事やった。「ミスを取り返そう」と思って打席に入ると力んでしまい、かえって結果が出ないもんなんやが、低めの直球を完璧に捉えた。森下は精神的にタフなタイプなんやろうが、日本シリーズという大舞台を勝ち抜くためにはこういう選手が必要だ。
阪神が王手をかけたとはいえ、オリックスは宮城、東、山本が第6、7戦で控えている。岡田監督は村上を立てて臨む第6戦で絶対に決めにいくつもりだろうが、最後まで予断を許さないシリーズとなりそうだ。
(本紙評論家)













