【球界こぼれ話】 高い壁を何度も乗り越えてこそ新たな景色が見える――。そんな思いで奮闘を続ける俊足選手がいる。日本ハムの「スプリンター」五十幡亮汰外野手(24)である。
6日の楽天戦で左太もも裏を負傷。翌7日に登録を抹消されてしまったが、プロ3年目の韋駄天は今春オープン戦13試合で打率3割8厘、5盗塁をマーク。この活躍により新庄剛志監督(51)から「チーム浮上のキーマン」に指名されていた。
中学時代に陸上100メートル、200メートルで「サニブラウンに勝った男」は、シーズン開幕直後こそ打率は1割台にとどまるも、4月下旬から一気に調子を上げ6日時点で打率は2割7分8厘まで上昇。盗塁数も2桁の「10」に到達するなど飛ぶ鳥を落とす勢いを見せていた中での負傷だった。
「三遊間にゴロさえ打てば出塁できる」とまで言われた快足の持ち主は、つい先日、もがき苦しんだ開幕直後の状況について「打撃の意識が少し消極的だった」と、こう明かしていた。
「何とかして出塁しようと試合前の練習から三塁方向に強い打球を打つという意識を持っていました。でも(新庄)監督から『(遅い球を打つ)打撃練習時から流す意識が強いと、実際の試合では相手投手の球威に押され差し込まれる。練習時から右方向(右中間)に強い打球を打った方がいい。どんどん(バットを)振っていけ』と言われて。今思うと結果を出そうとするあまり焦っていたのかもしれません」
周囲の多大な期待も本人の精神面を微妙に狂わせた。
「周りの方々が期待してくださる分、自分としては塁に出ようと必死でしたが、結果が出ないと批判の声が耳に入ってくる。特に開幕直後は三振やフライが多く、凡退するたびに『(他選手と)代われ!』と言われたりしたので。そこは正直…きつかったですね」
それでも前向きな気持ちで周囲の声を自らの糧に変えることができるようになったという。
「プロは結果がすべてですし、批判されるということはその分気にかけてもらっているわけですから。それに一時期の不調を乗り越えたこともあり、今はボールも見えてますし(打撃)感覚もよくなりつつある。あとは結果。自分が結果を出せばチームも上がってくるので、結果にこだわりながら前を向いてやっていきたい」
そんな五十幡なら、今回の試練も再び乗り越えられるはず。若武者の走力と足攻には今後も期待が高まる。












