第5回WBC1次ラウンドB組の日本は11日のチェコ戦(東京ドーム)を10―2で制し、開幕3連勝を飾った。先発の佐々木朗希投手(21=ロッテ)は球数制限で4回途中降板となったものの、66球を投げて2安打、毎回の8奪三振で1失点(自責0)と好投。当たりのなかった4番の村上宗隆内野手(23=ヤクルト)にも待望の初安打が出て、8強入りに〝マジック1〟とした。本紙評論家の前田幸長氏は「令和の怪物」の投球を「絶賛の一歩手前」と高く評価し、3大会ぶりの優勝に向け「ほぼ栗山監督の思惑通りに進んでいるのでは」と期待を寄せた。

【直球勝負・前田幸長】佐々木朗にとって、これがWBCデビュー戦。4回途中で球数制限に達してしまいましたが、十分に合格点を与えられる投球でした。控えめに言っても「絶賛」の一歩手前ぐらいの内容だったと思います。

 4日の中日との壮行試合では自己最速を1キロ更新する165キロをたたき出すなど3回を投げて1安打3奪三振で無失点でしたが、フォークが高めに浮いたり、直球が抜けるなど、少し心配な点がありました。それがこの日はフォークも低めに制球されていて、22球を投げてボールは4球だけ。直球も36球中25球がストライクゾーンを捉えていて、安心して見ていることができました。

 あえて課題を挙げるなら、ダルビッシュ直伝のスライダーでしょうか。8球を投じて6球がボール。それでも2回先頭の右打者ムジークにカウント1ストライクから2球連続で投げて、いずれも空振り。カウントを稼げて、ウイニングショットとしても使える可能性を示しました。彼の能力を考えれば、自分のものにするのにそう時間はかからないでしょう。

 何より大きいのは、準々決勝以降で対戦するチームに「ササキにはスライダーもあるぞ」とアピールできたことです。直球とフォークだけでも勝負できる投手ではありますが、米国やドミニカ共和国のようなスーパーメジャーリーガーをそろえたチームにスライダーを意識させることで投球の幅も広がるはず。先を見据えたデモンストレーションとしては言うことなしだったと思います。

 2試合を終えて無安打と苦しんでいた4番の村上にも、15打席目にして待望のWBC初安打が出ました。ポジショニングのいい二塁手なら捕られていたかもしれないような当たりでしたが、野手は「H」のランプが点灯すると気持ちが変わるとも言います。「1」が出ないことには「2」もないわけで、ここから状態が上がっていくことを期待しましょう。

 初戦の中国戦から残塁が16、8、11と多く「なんでコールド勝ちできないんだ」とモヤモヤされている方もいらっしゃると思いますが、コールドゲームがないからこそ先発、第2先発とも予定のイニング数や球数を投げられているとも言えます。チーム全体で見れば源田の負傷や村上の不振といった誤算もあるとはいえ、投手に関しては栗山監督や吉井投手コーチが思い描いていた通りに進んでいるのではないでしょうか。(本紙評論家)