侍ジャパンの佐々木朗希投手(21=ロッテ)が、19日に強化合宿3日目で初のブルペン入り。37球を投げ込んだ。だが、WBC球への対応や環境の違いからか、制球を乱す場面もあり、やや不安の残る内容だった。本番では11日のチェコ戦(東京ドーム)、米国で行われる準決勝での先発登板が有力視されるが、一発勝負の大舞台では状態のいい選手を優先して使うのが鉄則なだけに…。本人の状態次第ではローテ再編の可能性も浮上してきた。
怪物のブルペン投球は19日午前10時30分過ぎから始まった。ブルペン内は報道陣と関係者以外は立ち入り禁止のため、大勢のファンがブルペンに隣接するメイン球場の通路から遠目で見守る異様な光景。しかも、ボールを受ける捕手・甲斐の後方にはメジャー視察団や栗山監督、吉井コーチ、ダルビッシュら、そうそうたる面々がズラリと並ぶ。そんな異質な空間とWBC球の影響からなのか、佐々木朗の投球内容には明らかに異変が生じていた。
球威もさることながら、特に目立ったのが制球難。平常時は精度の高い直球とフォークを投げ込むが、この日は両球種ともに安定感を欠いた。時折、球の軌道が大きくそれたり、自身の指を気にする場面も珍しくなかった。だからなのか。本人はブルペン後、投球について「(捕手の)後ろにたくさん(人が)おられた中ですごく力が入ってしまったんですけど、どうにか30球程度投げることができて良かったなと思います」と苦笑い。
「ストレートは指のかかりがよくなかったり、フォークも抜けがよくなかった」とも話し「ブルペンなので何とも言えないですけど、ボールの違いだったり、そういうのはあるのかなと思います」と、ボールへの対応がまだ不完全なことを打ち明けた。
佐々木朗は昨年11月に行われたオーストラリアとの強化試合(札幌ドーム)でもWBC球で制球難を露呈。4回59球を投げ、4安打無失点(2奪三振)ながら毎回走者を背負う苦しい内容を強いられた。その後は自主トレを含め春季キャンプを活用しWBC球への対応を強化。その成果もあり、今月15日のヤクルトとの練習試合(糸満)では、2回を投げ5三振を奪う圧巻の投球でWBC球への不安を一蹴したはずだった。それが一転、この内容では不安が残るのも無理はない。
見守った栗山監督も全体練習後、佐々木朗について「まあいろいろ心配ごともあるけど、ボールの状態というか調子自体はそれほどでもないと本人も思っていると思う。ボールの強さだけは修正は利くと思っていたんでね」と神妙な面持ち。
「でも、そこのところは問題ない。さらに状態は上がると思う」と最後は前向きに話したが、このまま状態が上がらなければローテの再編も視野に入れる必要が出てくる。
現時点で佐々木朗は来月11日のチェコ戦と米国本土で行われる準決勝での先発登板が有力視されている。ただ、チェコ戦はともかく、準決勝は文字通り一発勝負。負ければ即敗退の重要な一戦となる。この日のように周囲の環境やボールへの対応により投球内容が一変してしまうのであれば、首脳陣もプラン再考を強いられる。
佐々木朗を熟知する吉井投手コーチは「ブルペンは分かんないです。(投球内容の)良い悪いは判断できない」としながらも、本大会での先発登板日の伝達に関しては佐々木朗を含め「まだ(誰にも)してないです」と断言。そのうえで「今日、この後ミーティングがありますし、明日(20日)も1日、休みがあるので。監督と話を進めて、監督にそれぞれのピッチャーに話をしてもらいたいと思っています」と近日中に各投手に先発日を通達することを明かした。
怪物は周囲の予想通り準決勝という大舞台で大任を果たすのか。それとも別ローテとなるのか。侍ジャパンの命運を握る重要な投手の1人だけに不安と期待が交錯する。












