いざ、運命の一戦へ――。5日の新日本プロレス札幌大会で、IWGPジュニアヘビー級王者・高橋ヒロム(33)がYOH(34)の挑戦を退け初防衛に成功した。これにより、ノアの武藤敬司引退興行(21日、東京ドーム)で行われるGHCジュニアヘビー級王者AMAKUSA(37)とのシングル戦は、王者対決になることが確定。ヒロムには同戦のキャッチコピー「トーキョートルネード」に去来する思いがある。

 苦しい戦いだった。YOHの執拗な脚攻めに遭ったヒロムだが、DIRECT DRIVE(旋回式ダブルアームDDT)だけは決めさせない。打撃合戦から首折り弾を連発し、最後はTIME BOMBⅡで激闘に終止符。V1成功後はヒートの持つ同王座の最多連続防衛記録「V11」の更新を目標に掲げた。

YOH(右)にビクトリー・ロイヤルを決めるヒロム
YOH(右)にビクトリー・ロイヤルを決めるヒロム

 一方で、この日の勝利はプロレス界にも大きな意味を持った。東京ドームで控えるAMAKUSA戦が、新日本とノアの王者同士の対決となることが確定したのだ。

 取材に応じたヒロムは「俺としてはタイトルマッチくらいの気持ちですよ。負けたらタイトルがかかってなくても、返上しなきゃいけないくらいの事件なんじゃないかなと。お互い王者なのは分かってるんで、負けた方が失うものは大きいですね」と興奮を隠せなかった。

 さらに闘志に火をつけるのが、この試合のキャッチコピー「トーキョートルネード」だ。これは2013年の英国武者修行時代、ヒロムがみちのくプロレスの剣舞と結成したタッグチームの名前。もちろんAMAKUSAと剣舞は赤の他人だが、ヒロムは「トーキョートルネードの言葉にすごく意味を感じているので。AMAKUSA選手には無関係な話をして申し訳ないんですけど、これはノア側のキャッチコピーが悪いです。勝手に思い入れを感じてますし、ただの王者対決じゃないという気持ちですね」と解釈した。

海外遠征前の高橋広夢(2013年)
海外遠征前の高橋広夢(2013年)

 トーキョートルネードに関しては秘める思いがある。ヒロムが人生初のタイトルマッチに挑んだのは13年10月、英4FWのオックスフォード大会でのこと。当時の同団体のジュニア王者が剣舞だった。「その試合がものすごい…自分がクソだったわけですよ。全然何もできない、完全に返り討ちに遭ったんです。当時、自分は剣舞選手と一緒に住んでいたので、試合後に『いつの日か、タイトルマッチじゃなくてもいいから、またどこかで戦ってください』って言ったことがありました」

 しつこいようだが、AMAKUSAは剣舞とは赤の他人。佐藤悠己や覇王とも生年月日が同じだけで、まったくの別人だ。それでもヒロムは、9年4か月前の約束を果たそうとしている。東京ドームの舞台で、トーキョートルネードの物語が再び動き出す。もちろんAMAKUSAには関係のない話なのだが…。