【赤坂英一 赤ペン!!】春季キャンプを前に、巨人の前評判がよろしくない。主力の衰えが指摘される一方、目立った補強もなく、今年も優勝を危ぶむ声ばかりが聞かれる。
しかし、昨秋キャンプで3年ぶりにユニホームを着た川相総合コーチは、「別に下馬評は低くてもいいんじゃないですか」と、こう言うのだ。
「かえって反発心、ファイトが湧いて、チームにプラスになる。前評判が悪いから負けるとは限らないし、良いから勝てるとも限りませんよ。優勝するチームと2位の勝利数の差は毎年1桁程度。その差をいかに詰めるか、そこをきっちりやることが大切なんです」
10年以上ショートの定位置を守り、2200安打を記録している主将・坂本勇人が昨季は故障もあって83試合出場に減少した。これが今季も大きなハンデになりそうだとも言われているが、川相コーチは首を振る。
「坂本の体調が良くて頑張れるのなら、フル出場してくれるに越したことはない。でも、フルでは難しいなら、誰か若手が出てくるでしょう。去年の秋から指導していて、それだけの素材はいると僕は思います。最終的にはチームの勝利が目的なので、試合に出る選手が誰々でなければいけないとは考えていません」
もちろん、実績や経験の乏しい若手には、しっかり準備をさせ、環境に慣れさせることも必要だ。「それをお手伝いするのが僕たちの仕事ですから」とこう強調する。
「一番重要なのは、継続です。守備はいかにして確実にアウトを取るか、チーム打撃だったらいかに確実に走者を進めて点を取るか。そういう練習や意識づけを、常に継続してやっていくこと」
朝7時から始まるアーリーワークでは、デーブ大久保打撃チーフコーチの発案により、15種類のチーム打撃を連続して成功させる練習が行われる。守備では、川相コーチが昨秋から導入した板グラブ(指と網がない平面のグラブ)を使って、より確実な捕球の技術のレベルアップを図る。
「そうした一つひとつの積み重ねが、チーム力を上げ、勝ち星を増やすことにつながるんです」
そう語る川相コーチがショートのレギュラーに定着した1989年も、巨人の前評判は低かった。スター選手も少ない中、川相をはじめとする若手の力の結集で優勝と日本一をつかみ取った。
今年の巨人が、川相コーチの職分「総合力」をどこまで伸ばせるか。地味ではあるが、一番重要なポイントでもある。












