阪神は12日のヤクルト戦(甲子園)に3―0で完勝し、2カード連続の勝ち越しで単独首位をキープした。この日のプロ通算45度目の登板で記念すべきプロ初勝利を挙げたのが、2年目の工藤泰成投手(24)だった。

 出番が回ってきたのは7回だった。先発した村上が毎回のように走者を背負う投球ながら、6回まで無失点。藤川監督に迷わず送り出されたのが工藤で、1イニングを三者凡退で抑えると、直後に佐藤の2ランと大山のソロが飛び出し、待望の白星が転がり込んだ。

 前日11日の同戦では163キロを計測。その記憶は虎党の脳裏にも鮮明に焼きつき、大声援を送られた中で力むことなく岩田、内山、古賀を12球で料理し、タスキをつないだ。

「とにかく先頭打者を」。その一心で右腕を振った。この日の直球の最速は158キロ。工藤らしさが見られたのは二死から対峙した古賀の打席だ。158キロの直球を続けて追い込むと、最後は144キロのカットボールで3球三振に打ち取った。

「初めてのことなので、どんなリアクションしていいか分からなくて。思わず笑う感じでした」。昨季、育成出身から支配下へ、そして2年目で初勝利。積み重ねた信頼について問われると「1試合1試合、1人ひとりという意識でやってきた結果」と静かに答えた。

 これから先の目標についても具体的な数字などは挙げず「また1人ひとりです」と繰り返した。「プロ野球選手として試合に、マウンドに立てることが本当に誇らしい」と語る24歳は、剛腕で球団史に名を刻んだ翌日に記念すべき初白星の夜を迎えた。

 藤川監督は「おめでたいですね。初勝利ですから」と目を細め「続けていってほしい。駆け出しですから」と先を見据えた。育てながら勝つ。その難題に対する現時点での答えが、この2日間の工藤の起用と結果に詰まっている。

 14日からは9連戦が控える。救援陣に誤算が続いた前半戦、勝ちパターンの再構築は待ったなしの課題だった。その解答の一つが「工藤」であることは疑いようがなさそうだ。