クリヤマとは一体何者なのか。3月開催の第5回WBCで野球日本代表・侍ジャパンの指揮を執る栗山英樹監督(61)に米国内から戸惑いの声が出ている。今大会に臨む日本代表にはNPBの国内組だけでなく、日本ハム時代に同監督と師弟関係にあった大谷翔平投手(28=エンゼルス)に加え、MLB移籍1年目の吉田正尚外野手(29=レッドソックス)ら日本人メジャー戦士が多数集結。「過去最強」のチーム編成に成功した侍指揮官の人物像に、ミステリアスな印象を受けているという。

 豪華絢爛(けんらん)だ。WBC最終ロースター入りする全30人には令和の日本が誇るスーパースターたちがズラリと肩を並べる。山本(オリックス)、村上(ヤクルト)、佐々木朗(ロッテ)らNPB主力メンバーとともにMLBからはダルビッシュ(パドレス)、大谷、鈴木(カブス)も先行発表で選出決定。正式発表を前に指揮官自ら招へいを明らかにした日系メジャーリーガーのヌートバー(カージナルス)、そしてメジャー移籍1年目としてのWBC参加は異例となる吉田もメンバーに入った。

 25日に都内のホテルで行われたPrime Videoの「2023 WBC」配信に関する会見にビデオメッセージを寄せた栗山監督は、その映像の中で吉田の代表入りについて問われると「メジャー1年目のバッターは動くボールに苦しむ。やっぱり(移籍先での)オープン戦に出る方がいいに決まっていると僕は思っていた」とコメント。その上で「本人といろいろ話をしながら、最後は『メジャーもそうだし、このWBCは僕の夢なんです』と(吉田)正尚が言ってくれた。その思いは本当に重いと思ったので『迷惑をかけるかもしれないけど、一緒に戦おう』とお願いした。自分のことだけではなく日本の野球をそこまで考えてくれていることに感動した」と続け、吉田が代表入りに至った舞台裏を明かした。

 吉田だけではない。今大会では投手が1次リーグ後、準々決勝後に2人ずつの交代が認められる見通しとなっていることから、すでに栗山監督はメッツに移籍したばかりの千賀滉大投手(29)を米国の決勝ラウンド(マイアミ)から招集する可能性に関しても「(本人と)いろいろな話はしてます」と含みを持たせている。

 さまざまなハードルがあるにもかかわらず、あっさりとクリアして日本人メジャーリーガーたちを呼び寄せた「ヒデキ・クリヤマ」とはどんな人物なのか。次のWBCで連覇を狙う米国代表側は、その〝見えにくい素顔〟が気になるようだ。

 WBC米国代表の事情に精通するMLB関係者の1人は「エンゼルスで大谷が大活躍を遂げたことで、日本におけるツー・ウエー・プレーヤー(二刀流)の道筋を作った人物として栗山監督の名前は少しばかり知られていた」としながらも、次のように述べている。

「栗山監督がWBCで侍ジャパンの監督に就任し、ここまでタフネゴシエーターぶりを発揮するとは誰も予想していなかったこと。大谷はWBC参加に『誰が監督でも出たい』と語っていたそうだが、本心では日本ハム時代の恩師が日本代表の指揮を執るからこそOKしたのだろうし、当初『若い人がいい』と代表入りに難色を示していたダルビッシュも『栗山監督に〝来年のWBC出場しなさい〟と言われたので出場します』と心変わりした」

 さらには「MLBのルーキーであるはずの吉田までも、栗山監督が口説き落とす格好になった。ここに千賀も加わろうとしているのだから米国代表が『クリヤマはそんなにすごい人間なのか』と思うのも不思議なことではない。実際に自分も米国代表に携わる複数の関係者に『クリヤマのことを詳しく教えてほしい』と繰り返し聞かれている」とも付け加えた。

 栗山監督の熱い人間性にも惹かれ、次々と強力なメンバーが集まり、まるでファミリーのように強固な絆を形成する侍ジャパン。そのヒエラルキーの頂点に立つ「ボス・クリヤマ」は米国代表の面々からハリウッドの大作映画「ゴッドファーザー」になぞらえる声もあるという。

 果たして最強侍たちを率いるゴッド・クリヤマは、WBCの大舞台でどんなドラマを見せてくれるのか。日本が米国と激突するとなれば3月20日(日本時間21日)の準決勝(マイアミ)となる見込みだ。