本人の願いは届くのか。3月開催の第5回WBCに臨む野球日本代表・侍ジャパンの最終メンバーにラーズ・ヌートバー外野手(25=カージナルス)と山田哲人内野手(30=ヤクルト)が選出されたことが11日に判明。すでに大谷(エンゼルス)ら一部12選手が先行発表されており、今月下旬までに出揃うWBC代表全30選手の枠は徐々に埋まりつつある状況だ。そうした中、WBC出場を熱望する楽天・田中将大投手(34)の〝行方〟に注目が集まっている。

 思いのほか、難航している模様だ。11日に都内で行われた野球日本代表のコーチ陣とともにスタッフ会議に出席した侍ジャパン・栗山監督は、日系2世メジャーリーガー・ヌートバーのWBC代表入りを明言。侍指揮官は当初、同会議において最終メンバー全30選手を選考する方向だったものの「決めたいと思っていたが、決まらない。今日に答えを出したかったが、出ないなというのは分かった」と慎重な姿勢を示し、全員の決定までには至らず腐心している様子がうかがえた。それでも同日に明らかになった山田を含め、残りのメンバーの最終決定はもはや時間の問題であろう。

 その限られた枠の中に〝滑り込み〟できるかどうか、注目されているのが、楽天の田中将だ。今月7日の契約交渉では昨季の9億円からNPB史上2位の大幅ダウンとなる4億2500万円減の年俸4億7500万円プラス出来高の単年契約でサイン(推定)。更改後の会見ではあらためてWBC代表入りについて「(最終メンバーの)候補には残っているので。やっぱり選ばれたいし、どんな役割でも、やれるところで自分のベストを尽くしたい」と熱い思いを訴えている。

 確かに球団から今オフに大減俸のメスが入ったように昨季の田中将は9億円に見合った数字は残せず、25試合の登板で9勝12敗と負け越し、防御率3・31に終わった。だが、侍ジャパン関係者の一部では田中将の代表入りを望む声があるのも事実だ。

 侍ジャパン関係者の1人は「ヤンキースから復帰1年目となった2021年シーズンも4勝9敗と苦しんだが、MLBでも重視される投手指標のWHIP(投球回あたり与四球と被安打数の合計)は1・03と高数値を残した。昨季もWHIPは規定投球回数に達した投手の中でパ6位の1・16と悪くない成績。こうした見えにくいところは大いに評価されるべき。ヤンキースでMLBの一線級と対峙してきた経験値は確実にWBCでも生かされるし、ダルビッシュや大谷とも〝話せる関係〟にあることで侍入りすればNPB組との橋渡し役にもなれるはずだ」とプラス効果を指摘する。

 その一方、田中将の代表入りに懐疑的な意見も少なくない。球界内では「ダルビッシュや大谷だけでなく田中将までレジェンドクラスが勢揃いしたら、それこそ若い投手たちは気遣いし過ぎて逆にチームバランスが崩れてしまうのではないか」「田中将本人は〝どんな役割でも〟と公言してはいるが、中継ぎを任せるとしたら久々だけにやはり未知数」などという指摘に加え、有識者からは「NPB復帰後はここ一番という大事な試合で打たれるケースが目立ち始めているところも否定できない。そう考えればWBCも心配だ」とする極めて厳しい評も出ている。

 果たして田中将は約1か月後にスタートする侍ジャパンの宮崎合宿で真新しい「JAPAN」のユニホームに袖を通すことができるのか。栗山監督の決断にすべてがかかっている。