世界の王も思わず目尻を下げた。第6回WBC1次ラウンドC組初戦で侍ジャパンは6日に東京ドームで台湾と対戦し、13―0で7回コールド勝ちを収めた。「1番・DH」で先発した大谷翔平(31=ドジャース)が、2回に決勝の満塁本塁打を放つなど4打数3安打5打点と爆発。初代WBC優勝監督であるソフトバンク・王貞治球団会長(85)が試合前にチームを激励し支持した「ドジャース流」の1番起用に見事に応え、打線を力強くけん引した。

 そのパフォーマンスはまさに衝撃的だった。初回の第1打席、鳴りやまぬ歓声の中で初球を振り抜くと、鋭い打球が右翼線へと伸びる。いきなりの二塁打で好機を演出し、チームに電撃的な勢いをもたらした。

 真骨頂を見せたのは、2回一死満塁で迎えた第2打席だ。外角低めのカーブに体勢を崩されながらも強振すると、打球は軽々と右翼席へ吸い込まれた。「打った瞬間に入ると確信した」というグランドスラム。大谷はダイヤモンドを一周しながら、おなじみの「お茶たてポーズ」を披露し、球場の熱気は最高潮に達した。

 この一発で火がついた打線は、相手の戦意を喪失させる猛攻を見せる。大谷は同じ2回の第3打席でも右前適時打を放ち、1イニング5打点という驚異的な数字をたたき出した。一挙10得点を奪った集中打に、大谷も「あの回に尽きる。大量得点の後も全員が集中して四球を選び、理想的なゲーム運びができた」と手応えを口にした。

試合前、王貞治氏(左)と握手する大谷翔平
試合前、王貞治氏(左)と握手する大谷翔平

 今大会のオーダー、とりわけ大谷の打順には大きな注目が集まっていた。試合前の練習を見守った王会長は「今日は大谷が1番だな」と不敵な笑みを浮かべ、自らその意図を解説している。かつての「3番・4番最強説」から、現在は「2番最強」や大谷のような「1番強打者」の時代へと変遷したと分析。ドジャースがその布陣でワールドシリーズ連覇を果たしている事実を挙げ、データに基づいた現代的な戦略を「ドジャース流の継承」として全面的に支持した。

 かつて代表を率いた王会長は、不測の事態が起こり得る初戦の難しさを説き、接戦も覚悟していたという。しかし、ふたを開けてみれば大谷の先制パンチから13安打13得点の圧倒劇となった。大会連覇へ向けて、これ以上ない滑り出しだ。

 王会長は「相応の戦力がそろっていなければ成立しない戦略だが、今の日本ならドジャースのようになれる」と語り、近藤(ソフトバンク)、鈴木(カブス)、吉田(レッドソックス)、岡本(ブルージェイズ)、村上(ホワイトソックス)らメジャーや国内の主軸が並ぶ厚い選手層に信頼を寄せた。

 史上最強の布陣だからこそ機能する「1番・大谷」。侍ジャパンは米国やドミニカ共和国といった強豪に引けを取らない破壊力を、世界に向けて鮮烈に証明してみせた。