最強の大黒柱になる。女子プロレス「スターダム」の前ワールド王者・林下詩美(23)が2022年の決意を表明した。昨年末に王座から陥落したものの、そのショックからはすでに回復。自ら所属するユニット「クイーンズ・クエスト(QQ)」を裏切った渡辺桃(21)との一騎打ち(29日、愛知・ドルフィンズアリーナ)を制し、V字回復の足掛かりとするつもりだ。

 昨年末は詩美にとってショックな出来事が続いた。12月18日の大阪大会で、元リーダーの渡辺が寝返って大江戸隊入り。デビューした2018年からタッグを組み、同年にはタッグリーグ戦「ゴッデス・オブ・スターダム」も制したパートナーの行為で失意のどん底に叩き落とされた。さらに同29日には朱里との激闘に敗れて1年以上にわたり守り続けた王座から陥落した。

 そんな悪夢の年末を踏まえ詩美は「正直、年末はベルトもないしリーダーに裏切られてどん底でした。でも、デビューしてからこんなどん底に落ちたのは初めて。新年明けて『ここから逆に新しい林下詩美を見てもらえる』と思って、前向きな気持ちでどうはいあがってやろうかと考えていますよ。ゼロからって久々なんでむしろワクワクしています」と不敵に笑った。

 ショックから切り替わったのは3日の新宿大会で裏切りの渡辺と相対してからだ。「それまでまだ心が揺れていたんですが、この試合が終わって裏切られた事実を受け入れられました」。その渡辺と一騎打ちも決まり「〝ブラックピーチ〟は私が潰します」と決別を宣言する。

 元リーダーとの別れとともに芽生えたのは大黒柱の自覚だ。「去年はシングルのベルトを守り続けたので、今年はQQ強化のために、ゴッデスとかアーティストのベルトを取りにいきます。自分だけのことじゃなくてユニット全体を引っ張れるような存在になりたい」と拳を握った。

 リーダーといえば最高のお手本がいる。大家族を支えた父・清志さんだ。「私がQQを守るっていう自覚でやってきたいと思います。QQは私にとって〝もう一つの家族〟なので、みんなの大黒柱になって守っていきたい。清志のように頼れる大黒柱を目指します」。どん底から一気に駆け上がれるか。