米国・WWEプロレスの祭典「レッスルマニア42」2日目(19日=日本時間20日、ネバダ州ラスベガス)、〝ビースト〟ブロック・レスナー(48)と〝ルーラー(支配者)〟オバ・フェミ(27)の新旧怪物対決は、新怪物が圧勝。敗れたレスナーは引退を示唆した。

 プロレス最高峰のWWEとIWGP、総合格闘技のUFCでヘビー級王座を手にした史上唯一の男と、ナイジェリア出身でデビューからわずか3年半足らずで祭典出場まで上り詰めた新世代の支配者。前哨戦ではオバが圧倒したこともあって、アレジアントスタジアムに集まった大観衆は新怪物への声援一色だ。

 ロックアップからレスナーはショルダーアタック、ラリアートで突進するが、オバには通じない。逆に強烈なラリアートを浴びて、ビーストが場外にエスケープする。体中から異様なオーラを発するオバも、経験豊富なレスナーから場外にひきずり落とされ、コーナーポストに背中から打ちつけられた。さらに鉄階段へと激突させられた。

ブロック・レスナー(下)のF5もオバ・フェミには通じなかった(©WWE)
ブロック・レスナー(下)のF5もオバ・フェミには通じなかった(©WWE)

 何とかペースを引き戻したレスナーは、得意のスープレックスシティーに持ち込み、オバの巨体をジャーマンで3度も投げ捨てた。だがこれも新怪物には効かない。バックエルボーで4発目のジャーマンを防ぐと、コーナーにビーストを押し込み、ランニング式のエルボーを連発してみせた。

 レスナーは3発目をかわして、必殺のF5でマットに打ちつける。完全に決まったが、オバは何とダウンしない。すぐさま立ち上がって豪快なチョークスラムだ。続けて胸を叩く独特のポーズから、フォールフロムグレーズ(高角度シットダウンパワーボム)でレスナーを叩きつけた。怒とうのラッシュで一気に3カウントを奪った。

 わずか4分45秒でビーストに圧勝。2014年の「レッスルマニア30」で〝怪人〟ジ・アンダーテイカーの祭典連勝記録を「21」で止めたレスナーを、5分足らずで仕留めてみせた。偉業を成し遂げたオバ自身も驚いた表情で、両手を広げて大の字にダウンしたレスナーを見つめた。27歳の新怪物が48歳のビーストから「真の支配者」の座を奪った。

オバ・フェミ(上)はわずか5分足らずでブロック・レスナーをKO(©WWE)
オバ・フェミ(上)はわずか5分足らずでブロック・レスナーをKO(©WWE)

 片やレスナーはオバ退場後にリング上に座り込むと、感極まった表情でオープンフィンガーグローブとシューズを脱いで、リング中央に並べた。これはプロレスラーにとって「引退」の合図だ。さらにデビュー時から代理人とセコンドを務めてきたポール・ヘイマンに両腕で「×」をつくると、抱擁をかわした。続けてグローブとシューズに日本式の座礼。生中継したABEMAの日本語実況も「今ビーストの中に、一つの区切りというのものがつけられたのでしょうか」と指摘した。

ポール・ヘイマンから手を上げられたレスナー(©WWE)
ポール・ヘイマンから手を上げられたレスナー(©WWE)

 苦楽をともにしたヘイマンが号泣する中、観客もレスナーの多大な功績にスタンディングオベーションと「サンキュー、レスナー!」のチャントを送った。故アントニオ猪木さんからも高く評価されたビースト伝説は、新怪物登場によって終えんを迎えた。