大日本の〝怪人〟アブドーラ・小林(45)が、自らに都合のよい持論を展開した。

 小林は来年1月2日の全日本プロレス東京・後楽園ホール大会で3冠ヘビー級王者のジェイク・リーに挑戦することが決定していたが、王者が26日の全日本の新木場大会で負傷。「鼻骨骨折、左眼窩内側壁骨折」と診断され、当面の欠場と王座を返上することが発表された。

 かつて全日本プロレスの渕正信から「体が小さいから」と言われ、同団体入りがかなわず「(本名の)小林洋輔としては感慨深い」と口にしていただけに、今回の消滅に、さぞ落胆の色が濃いと思いきや「ホッとしているよ。小林洋輔としたら感慨深いけど、アブドーラ小林としては肩の荷が下りた」となぜか安ど。

 理由は驚くべきものだった。小林は「普通に考えて他競技とかなら王者がいなくなったら、トップコンテンダーがそのまま繰り上がるでしょ。だから気持ちの中では俺は暫定王者だ!」と独特の理論を展開した。

 もちろん全日本からそのような発表はない。しかしその後も「一チャレンジャーとして王座決定戦とかはやりたくないよな」。SNSではジェイクの復帰を待つとしたことにも「思わずそう言っちゃった。だって暫定王者だから」と主張。

 王座戦が流れた穴を埋めるべく小林は、全日本1月2日大会に伊東竜二、関本大介を引き連れ参戦。「お客さんに対しての最低限の礼儀だ。大日本のタケシ、タモリ、さんま(つまりビッグ3)を出すわけだから。向こうには借りをつくった。それをどう返してくれるのか。暫定王者ベルト譲渡式をやってくれた方がいいんじゃないか」と暫定王者の証しを求めた。

 30日の後楽園ホール大会では6人タッグ戦に出場。敵軍の連係攻撃に苦しみながら星野勘九郎に渾身のラリアートを一閃。最後は横入り式エビ固めで星野から3カウントを奪った。今年は残すところ1日となり、来年の抱負を「またパンデミックとかになったら試合ができないからな。世界平和のために戦うよ。プロレスを盛り上げる」と意気込んだ。