Aクラス浮上を果たしさらなる上位進出をもくろむ阪神が〝スタミナ貯蓄〟に取り組んでいる。

 19日のDeNA戦(甲子園)に4―7で敗れ、連勝は5で止まったが、6月は11勝3敗。直近6試合で平均5・5得点と打線も好調を持続している。それだけに「完封負けばかりを繰り返してきた春先とは明らかにチームのムードが違う。今のウチの打線なら3、4点程度のビハインドならすぐに取り返すことができそうな雰囲気がある」とチーム関係者も手応えを口にする。

 首位・ヤクルトとのゲーム差は13・5とまだまだ遠いが、奇跡の大逆転劇を信じる虎ナイン&首脳陣の目は大マジだ。糸井が「去年とは真逆のことを起こしてやりたい」と昨季喫した逆転V逸のリベンジを力強く誓えば、井上一樹ヘッドコーチ(50)も「ここまでは本当に悔しい思いをしてきたが、少しずつチーム状態も上がってきた。戦いのリングに上がる資格は取り戻したと思う」と闘志をみなぎらせる。

 そのためにも今、チーム全体で取り組んでいるのが、夏場の戦いを見据えた練習強度のアップだ。井上ヘッドは「例えばだけど『ダッシュを5本走るところを7本に増やそう。10分走るところを15分走ろう。その2本、その5分が、お前らの大切な〝貯蓄〟になる』と選手たちには呼びかけている。昨季の反省もあるし、これから暑くなって体がダレてしまう時が必ずくるからね」と明かす。

 開幕当初から首位を独走した昨季の阪神は7月以降の夏場から徐々に失速。主砲・佐藤輝も59打席連続無安打に陥るなど大いに苦しんだ。今年の8月も18試合中15試合をビジター球場で戦う、例年以上にシビアな〝死のロード〟が待ち受けているだけに同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。

 最大で「16」あった借金も「5」まで減った。7月末のオールスターブレークまでの完済も現実味を帯びてきたが…。本当の勝負はその先だ。