原巨人の「正捕手構想」はどこへ向かうのか。巨人は9日の広島戦(マツダ)に0―2で今季2度目の零封負けを喫した。得点力&決定力不足に悩まされる一方で、混とんとしてきたのが扇の要だ。正捕手候補の大城卓三捕手(28)が一塁起用となり、小林誠司捕手(31)は二軍降格。ここへきて炭谷銀仁朗捕手(33)の株が急上昇しており、勢力図が大きく変容している。

 尻上がりに調子を上げたエースを打線が援護できなかった。脚の違和感で登板を一度飛ばした菅野は初回にソロ2発を浴びたが、その後は粘りの投球で7回2失点。だが、攻撃陣は先頭打者を6度出塁させ、無死一、二塁の好機を3度演出しても本塁が遠かった。11残塁の拙攻にも、試合後の原辰徳監督(62)は「完封はされましたけど、少しずつ動き始めましたよ」と復調気配を口にした。

 とはいえ、28年ぶりとなる11試合連続の3得点以下の苦境が、今季の一大チーム方針をも圧迫している。

 当初の方針では昨季のように投手ごとに捕手を変える“専属捕手制”ではなく、軸となる正捕手を据えてシーズンを戦い抜く青写真を描いてきたが、首脳陣は攻撃力アップへ、まずは控え捕手だった小林よりも打力が上回ると判断した岸田と入れ替え。さらに、正捕手の筆頭候補の大城を開幕12試合目に当たる前日8日の阪神戦(甲子園)から、2戦連続で一塁でのスタメン起用に踏み切った。

 指揮官は大城の捕手としての実力を認めた上で「攻撃面を含めて今の状況の中では彼がファーストを、5番を守るということの方がいい選択だろう」と説明しており、激務となる守備の負担を減らす狙いも見え隠れする。

 それと並行して炭谷への評価はうなぎ上りとなっている。原監督は8日に先発した高橋を8回途中無失点と好リードしたベテランを「やっぱり安心感があるね。大城がいいとか悪いじゃなくて。銀ちゃんの価値が上がったね」と絶賛。打線の状態が上がらない以上、大城の一塁起用を優先するとなると、炭谷が先発マスクをかぶる頻度が上がっていきそうだ。

 また、菅野の“正妻”の座も気になるところ。この日の炭谷とのバッテリーは2019年9月以来だったが、指揮官は「お互い(相手を)選ぶような人じゃないからね」と語った。ちなみに、小林を含めた3人が先発マスクをかぶった際の近年のバッテリー防御率は昨季19試合の大城が1・93。大城が一塁に専念し、菅野自身も腰痛を抱えていた19年は15試合の小林が3・74、7試合の炭谷が4・30となっている。

 最適解はどこにあるのか。どちらにせよ、得点力不足を解消することこそが何よりの“特効薬”となることは間違いなさそうだが…。