二刀流選手を扱えるのか――。ドジャース・大谷翔平投手(32)の歴史的な活躍により、MLBで「ツーウェー・プレーヤー」の存在が広く知られるようになったが、日本球界の足元にも有望株は数多くいる。そこでNPB球団が直面しているのはプロスペクトたちを獲得した後、どう育てるのかという問題だ。さまざまな事情を抱える球団間で〝二極化〟が進もうとしているという。
2012年のドラフト会議で日本ハムから1位指名を受け、大谷がプロでのキャリアをスタートさせて10年以上。17年オフに海を渡り、エンゼルスとドジャースで繰り広げる二刀流劇場は野球ファンならずとも魅了し続けてきた。
ただ今季は23年の右肘手術を経て2年ぶりの二刀流として本格復帰を一旦果たしたものの、左膝の違和感のため7月3日(日本時間4日)のパドレス戦を最後に登板を休止。現在は打者に専念しているが、大谷本人と球団の共通認識として「レギュラーシーズン最終盤の9月末、あるいはポストシーズンに万全で間に合えばいい」というスタンスで調整が進められており、今季中の二刀流再開があるのかどうかが注目ポイントとなっている。
そんな大谷は別格とはいえ、アマチュア界にも可能性を秘めた選手はいる。6月の第75回全日本大学野球選手権記念大会で、惜しくも準々決勝で敗退した大商大の中山優月(3年)もその一人だ。「2番・投手」でリアル二刀流出場し、7回138球、7奪三振の力投で最速148キロを計測。打っては全打席出塁を果たし、降板後は二塁守備にも就き、ネット裏に陣取った国内外のスカウトたちは入念な情報収集に力を注いでいた。
投手か野手のどちらかに特化せず、どちらも生かす世代が大学生にも及んでいる現実が改めて浮き彫りとなり、プロ球団側も対応を迫られることになりそうだ。大会を視察していたセ・リーグ球団のスカウトは「いずれはこの起用法(リアル二刀流)も珍しいものではなくなる。この段階になると、我々もこうした選手に対しての育成プランをしっかりと確立しておかないといけない」と口にした。
今後、獲得を検討するドラフト候補が二刀流選手だった場合、プロ入り後も継続させるかが大きな焦点となる。指名を受ける選手がプロでも二刀流の継続を希望すれば、球団側としては意思に沿えるかどうかを回答する必要性に迫られる。
特に1位指名で競合必至の有力選手であれば、ドラフト前までに各球団と選手との間で「面談」が行われる機会も増えている。だからこそ「球団として考えだけは持っておくべき時代が来ている」というわけだ。
「現状、日本ハムさんの独り勝ち。でも、それは大谷という偉大な選手を生み出したからじゃない。大谷が抜けた後も変わらずポテンシャルのある選手に二刀流をやらせている。中には大成、成功しなかった例もあるけど、今となっては取り組ませてきたことの蓄積自体が球団の財産だろうからね」
ノウハウを持つ球団が少ない二刀流選手の育成法を示せるのか。それ以前に各球団によって育成にかける余裕があるのかどうかも事情が異なる。いずれにせよ、二刀流は10年に一人の逸材だけが取り組むものではなくなりつつある。今秋のドラフトでは県準決勝で敗れた山梨学院高の菰田陽生(3年)、来秋は中山、中京大・寺下颯真(3年)も候補となりそうだ。
二刀流選手を扱える球団と扱えない球団で将来的に大きな格差が生まれるかもしれない。












