真打ち登場だ。ヤンキースから8年ぶりに古巣楽天に電撃復帰した田中将大投手(32)が、5日に沖縄県内のチーム宿舎に到着。金武町で行われている一軍キャンプに6日の第2クール初日から練習に合流した。新型コロナ禍のためファンへのお披露目はまだ先になるが、既に球団にはメディアの取材依頼や関連グッズに関する問い合わせが殺到。〝マー君特需〟は過熱する一方で、関係者はうれしい悲鳴を上げている。

 やはり格が違う。キャンプ地の沖縄に入り、車で田中将がチーム宿舎に到着すると、GMも兼ねる石井一久監督(47)が自ら玄関前でお出迎え。無事の到着を祝うように笑顔でグータッチを交わした。

 現地入りした5日はキャンプの休養日で、田中将は6日が初日の第2クールから練習に合流。年明けから松井らと国内で入念に自主トレを行っており、出遅れなどの心配もない。

 今年は新型コロナウイルスの影響からキャンプはどこも無観客。ファンにしたら楽天のユニホームを着た田中将の姿を一目でも生で見たいところだろうが、現時点ではそうもいかない。お披露目は、もう少し先になる。

 ただ〝マー君フィーバー〟は既に本格化しているようだ。球団関係者によれば、先月末に田中将が古巣復帰を発表した直後から、テレビやラジオ番組を筆頭に、ネット媒体やスポーツ専門誌なども含めて取材依頼が急増し始めたという。

「1日あたり約10件ペースで取材依頼が増え続けている異常な状態です。件数を全て把握しているわけではないのですが、現段階(2月5日時点)で100件近い数まできている。今日仮にお申し込みいただいても、いつ対応できるか全く分からない状況です。今後も増え続ける可能性を考えると、最終的にどれぐらいの数になるのか想像すらつきません(苦笑)」

 田中将の記者会見から1週間足らずにもかかわらずこの人気ぶり。だからだろう。親会社が運営する「楽天市場」などでも田中将のユニホームやグッズの販売が好調なようで、前出関係者は「球団公式サイトはともかく、一般向けの楽天市場で選手のユニホームなどが人気になるのは異例のこと。今後は本人監修のグッズを販売する予定です。このまま売り上げを伸ばしてほしいですね」と期待を込める。

 こうなると気になるのが「マー君復帰でどの程度の金銭が楽天にもたらされるか」という点だ。球団側は田中将と1年9億円+出来高払いで契約に合意したとみられる。仮にメジャー帰りの右腕が期待通りに活躍、出来高払いを「満額」受け取るとなれば、年俸総額は15億円近くに膨れ上がると言われる。この金額を楽天は1年で回収できるのか。正確な数値を算出するのは困難だが「マー君が露出する時間をCMや広告に換算した場合、楽天としては軽く元が取れたのでは」と話すのは、ある在京キー局の放送関係者だ。

「現在は新型コロナ禍のため、テレビのCM料は値下がり傾向ですが、安く見積もっても1本(15秒)50万円ほど。この計算だと2000本でおよそ10億円の計算になる。一見すると途方もない数字に見えますが、これはあくまで1局がCMを流した場合の数字。マー君は全国区ですし、入団会見だけでも日本全国のテレビ局が一斉に会見の様子を放送した。翌日からはニュースやスポーツ番組だけでなく、ワイドショーなどでも長時間にわたってマー君の復帰を取り上げていましたからね。そこに新聞、ラジオ、ネットなどでの露出を含めると、マー君の入団会見だけで楽天はすでに15億円以上のCM価値を得たのと同じことなのです」

 今後、田中将に関連したグッズ販売、付随して観客動員が増加すれば楽天の懐事情はさらに向上する。注目度も今以上に高まることが予想されるだけに、楽天にしてみれば笑いが止まらないところだろう。

 楽天は球界史上最高年俸で田中将を迎え入れたが、高いどころか、むしろお買い得だったとも言える。それこそマー君効果で2013年以来のリーグV、日本一となれば〝ホクホク楽天ゴールデンイーグルス〟だ。