九州独立リーグ・熊本の〝投手GM〟に就任 元タカの守護神・馬原氏が故郷で描く「NPBにない指導」

2020年11月08日 08時00分

本紙のインタビューに応じた馬原氏。故郷・熊本に生まれる球団への思いを熱く語った(人吉・川上哲治記念球場)

 九州を拠点とする野球の独立リーグが来春開幕する。熊本火の国サラマンダーズ、大分B―リングスの2球団でスタートし、将来的には九州全域に拡大、韓国や台湾などを巻き込んだ「アジアリーグ」構想も描く壮大なプロジェクトだ。今回、独立プロ球団の創設に携わるキーマンがいる。かつて鷹の守護神に君臨し、NPB通算182セーブの実績をつくった馬原孝浩氏(38)だ。7日は熊本・人吉の川上哲治記念球場で開かれた「合同トライアウト」で参加選手に熱視線を送った。地元球団となるサラマンダーズの「投手GM」に就任した男は、なぜ再びグラウンドに戻ってきたのか――。

 ――投手の技術指導や故障予防などを担う「ピッチングゼネラルマネジャー」に就任する。どういう経緯で携わることになったのか

 馬原氏 最初は監督の要請があったんです。ですが、僕自身、すでに福岡の糸島の方で活動を始めているので、お断りをさせてもらった。そういう流れの中で、どういう形でもいいので(手伝ってほしい)ということだったので話をさせてもらった。熊本は故郷ですし、話をしていく中で熱い思いも伝わりましたし、僕自身も活動と並行してトレーナーアカデミーの子たちを帯同させたり、僕が来れない時にトレーナーを派遣できたりとか、僕自身が投手コーチという所においても資格(柔道整復師、はり師、きゅう師)を持っているのでやれる幅が広い。

 ――聞き慣れない肩書だ

 馬原氏 「投手コーチ」ということになると、やれる幅が狭まるので「ピッチングGM」ということで、全面的に投手に関しては全権で任せてもらうという形になりました。コロナ禍で新しい生活スタイルも確立される中で、福岡と熊本で距離はありますが、オンラインシステムなども取り入れながら指導もできると思いますので、そういう形での携わり方も考えている。新しい形で携わっていくのは面白いのかなと思います。

 ――プロでタイトルを獲り、侍ジャパンでは世界一を経験。頂点に立った者として、独立リーグの選手たちに技術以外で伝えられるものは

 馬原氏 プロの世界でもメンタルの持ちよう、モチベーションの持ちようは人によって波がある。ホークスの場合はその意識が高かった。それは、また一軍、二軍、三軍で違う。ホークスの場合は二軍もハングリー精神をすごく持っていて早く一軍に行きたいと思っている選手が多かった。一軍で活躍すればした分だけお金を稼げるという意識を持った選手が多い。でも、12球団で見渡せばそうじゃない球団も多い。実際にプロで活躍しないと確立できないことなんで、そういったことを遠回りじゃなく、近道というか効率よくトレーニングやケア、考え方なども植え付けていきたいというのはあります。ネガティブな言葉よりもポジティブな言葉で、的確な言葉で選手とは接していきたいです。やっぱり結果を残す人は一握り。そこからプロに行く人はほんの一握り。さらにプロで結果を残す人となると、確率で言うとめちゃくちゃ低い。なので、それがどういうことなのかを伝えたい。

 ――独立リーグを舞台にした熊本県内初のプロ球団創設に携わる。地元でサラマンダーズの一員として戦う率直な思いは

 馬原氏 僕は熊本出身でプロ野球からは離れていた。熊本の人たちは子供からお年寄りまで近くにやっぱりそういう球団を持っていなかった。野球に関しては、福岡に行けばホークスがある、九州にはホークスがあるという感覚だったと思う。こうやって歴史的第一歩に携われるのは非常に感慨深い。地域活性という意味では、子供たちは必ず憧れのまなざしで見てくれる。お年寄りの方々も自分たちの地元の球団として応援してくれると思う。選手は安い高いあるとはいえ、給料をもらってやるわけなので、そういう意識は大事にしないといけないと思っています。

 ――選手の中にはNPBを志す選手もいる

 馬原氏 当然NPBを目指す選手もいるでしょうし、長く野球を続けたいと思う選手もいる。そういう力になりたい。そういうきっかけになれることは嬉しい。それぞれに高いモチベーションを持たせるということに関しては、接し方はそれぞれ変わらないと思います。その中でNPB、頂点まで行きたいという選手には、ケガをしないためにどうするか、今のレベルからどうすれば上積みができるのか、そういうモチベーションを上げるために細かいことも言っていかないといけないと思っています。

 ――馬原式の指導とは

 馬原氏 解剖学的に物事を捉えて分かりやすく教えたいと思っています。体の構造はこうで、体の動きというのはこうで、とか。体の構造とか解剖学的な形で物事を的確に伝えたい。選手にしっかりと(知識や技術を)落とし込めるように伝えていきたい。NPBではない指導になる。新しい形でやれることに、やりがいを感じてやっていきたいです。

【まはら・たかひろ】1981年12月8日、熊本生まれ。熊本市立高(現必由館高)から九州共立大学を経て、2003年ドラフト自由獲得枠で当時のダイエー(現ソフトバンク)に入団。07年に38セーブをマークしてタイトルを獲得。06年、09年WBC日本代表として世界一連覇に貢献。13年にFA人的補償でオリックスに移籍し、15年限りで引退。通算385試合23勝31敗182セーブ。防御率2・83。引退後、柔道整復師、はり師、きゅう師の国家資格を取得。現在は19年に開講したトレーナー養成のアカデミー(馬原トレーナーアカデミー)で精力的に活動中。

★九州初のプロ野球独立リーグ=開幕は来年3月20日を予定。熊本、大分2球団の対抗戦が年間36試合、交流戦の相手としてソフトバンク三軍、沖縄県のプロ球団である琉球ブルーオーシャンズ、四国アイランドリーグplusの4球団などと調整を進めており、年間計80試合程度の公式戦開催を計画している。