中日・星野監督が試合後に審判団を襲撃!蹴り2発 巨人びいきの審判は「死刑だよ」

2020年05月17日 11時00分

試合後、審判に暴行した星野監督

【球界平成裏面史(25)、96年・長嶋巨人VS星野中日(2)】中日・星野監督が試合終了後、審判団を“襲撃”するという事件が起きたのは平成8年(1996年9月20日の巨人戦(東京ドーム)だった。「誰に頼まれたんや! この期に及んで汚いぞ! 今日は言うぞ。お前ら汚い。公平にやれ!」。延長戦の末、サヨナラ負けを喫した星野監督は試合後、7回にパウエルの遊ゴロをアウト、10回二死満塁で彦野のハーフスイングを空振りと判定した上本一塁塁審を三塁ベンチ横通路で待ち受け、怒りを爆発させた。もみ合いの中で止めに入った田中責任審判の左ヒザに星野監督の蹴りが2度ヒットすると「この野郎!」と田中審判も反撃。現場は大混乱に陥った。

 この年は巨人、広島、中日が三つどもえの激しい首位争いを展開。ペナントレースの佳境でライバル・巨人に微妙な判定が絡んで敗れたことで星野監督の怒りが爆発したわけだが、実は予兆はあった。星野監督はシーズン中からことあるごとに“巨人びいき判定”に対する不満を漏らしていたのだ。

「東京ドームでどれだけガマンしたことか。スコアラーも捕手もみんな“あそこではストライクゾーンが変わる。おかしい”と言っている」。ヤクルトや阪神からも巨人戦でのジャッジに対する不満が出ていたこともあって「ノムさん(ヤクルト・野村監督)も藤田(阪神・藤田監督)も言ってるだろう。ひいきしてくれとは言わんがせめて公平にしてくれってんだ」と怒りのマグマはたまっていた。「(意図的に巨人に有利な判定した審判は)死刑だよ」。物騒なジョークを口にしたこともあったほどだ。

 星野監督やセ・リーグの球団が「巨人びいき判定」に対してナーバスになっていた背景には当時の巨人が現在とは比べ物にならないくらい特別な球団であったことが関係している。どの球場も巨人戦となれば超満員。ゴールデンタイムの巨人戦視聴率は20%超えが当たり前で巨人戦の放映権料は1試合数千万とも言われていた。92年オフに第2次長嶋政権が誕生してからは「巨人あってのプロ野球」という流れはさらに加速。そういった球界の構造が“忖度”に結び付いているのではないかと疑心暗鬼になっていた。

 さらに首位・広島に最大11・5ゲーム差をつけられながら7月から快進撃を開始した長嶋巨人の「奇跡の逆転V」「メークドラマ」を期待する雰囲気が日本中を包んでいた。「(審判は)知らず知らずのうちにマインドコントロールされているのかもしれん」と星野監督は漏らしたこともあった。

 審判団に対する暴言、暴行という行為を重く見たセ・リーグは翌21日、星野監督に対して厳重戒告と制裁金100万円という処分を下した。ペナルティーを受け入れはしたものの「確かにオレが悪かったかもしれん。だがこっちの言い分も聞いてほしい。みんなの前でやればいい」と公開討論を訴えるなど星野監督は巨人びいき判定問題については最後まで納得はしていなかった。

 リクエスト制度が導入された現在のプロ野球ではまず起こることのない事件。この時は審判団に怒りをぶつけた星野監督だが、この後、巨人の優勝を期待するマスコミに対して強烈に反発することになる。きっかけは人気女性キャスターの余計なひと言だった――。