強力打線を相手に実力を存分に発揮する128球だった。第104回全国高校野球選手権大会(甲子園)第5日の第3試合に登場した鹿児島実(鹿児島)は、明秀日立(茨城)に1―2の逆転負け。エース・赤崎智哉(3年)が8回2失点と好投したが、初戦突破はかなわなかった。

 相手は初出場ながら選抜大会に続く春夏連続出場で、攻撃力が売りの実力校。宮下監督は「4点以内に抑えてくれると信じていた」とゲームプランを明かした上で「明秀日立さんを相手に合格点。いや、100点満点です」とたたえた。それもそのはず。2失点だが、自責は0だった。

 得意のスライダー、チェンジアップを低めに集めて的を絞らせなかった。7回と8回の失点はいずれも失策が絡んだもの。指揮官は「崩れるなら内野、ディフェンスかなと思っていた。甲子園は恐れていたことが起こる場所。もう少し打線の方で援護してやりたかった」と内野の2つのミスを含む4失策を悔やみ、追加点を奪ってやれなかった攻撃のタクトをわびた。

 左ヒジを疲労骨折し、4月まで投げられなかった。「(球速が)140キロまで戻って、監督としてもホッとしている」。将来性のある投手ゆえに、指揮官の心配は尽きなかった。それでも県大会の準々決勝以降、1人で投げ抜いた。赤崎は「今日は勝負所で甘くなったのが悔いが残る」としながらも、集大成の登板を「80点」と評して満足そうな表情を浮かべた。薩摩隼人の誇りを胸に「県民への恩返し」を誓ってマウンドに上がった身長171センチの小さなエースは「チームメートもみんな頑張ったので胸を張って帰りたい」と言葉を締めた。

 ノーシードから甲子園まで勝ち上がった鹿実。「ここまで連れてきてくれて感謝しています」。そう言って声を詰まらせた宮下監督。鹿児島の名門らしくプライドを示し、聖地に別れを告げた。