第94回選抜高校野球大会の準決勝(30日)第1試合で浦和学院(埼玉)が近江(滋賀)に2―5とサヨナラ負けを喫し、9年ぶりの決勝進出はならなかった。

 2―2で迎えた延長11回、3番手の金田(3年)が一死一、二塁から大橋に左翼席に3ランを浴びた。3連投したエース宮城に代わって浅田(3年)、芳野(3年)と継投策で粘ったが、最後に力尽きた金田は「最後はカーブ。まっすぐに付いてきていたのでまっすぐ1本じゃダメ。緩急をつけにいって内に入った…」と肩を落とした。

 好投手・山田の前にチャンスを作りながらも堅守に阻まれ、あと1本が出ない。山田は5回に左足に死球を受けるが、そこからさらにギアを上げ、打線はその気迫に圧倒された。森監督は「相手の気迫が1枚上手だった。球数を多く投げさせようとしたが、170球投げてもボールの質を落とさない。世代のトップクラスと改めて感じた。5回の死球からギアが上がり、気迫が違った。彼の気迫は同じ野球人として感動しました」と脱帽だ。

 それでも昨秋からチームを率い、伝統の堅守と「超攻撃型野球」で4強にたどりついた。「走攻守すべてに逃げない姿勢でやりきった。夏に向けていい試合ができた。成果が出たところはあったけど、最後に勝ち切るには山田くんのような気持ち、気迫。それを感じさせてくれた甲子園は素晴らしい場所と感じました」。すべては夏のため…。31歳の青年監督は、生徒とともに汗をかき続ける。