〝あと一歩〟の壁は、思った以上に高いのかもしれない。マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(53)が8日、大分市の大分舞鶴高で2日間にわたる野球部への訪問指導を終えた。甲子園を目指す進学校の球児たちに、技術だけでなく勝負への覚悟を説いた。
初日の7日はキャッチボールや打撃を実演し、103スイングで約120メートルの特大弾も披露。2日目は走塁を中心に、より厳しい言葉が飛んだ。二塁走者の打球判断や一塁走者のリードの取り方に課題を見つけ、二塁ベース付近で約40分にわたり熱弁。「走塁ミスでゲームをつぶすのは、やってほしくない。流れが変わるし」と注意を促した。
とりわけ強調したのが、強豪を相手にする意識だ。大分舞鶴が甲子園出場を目標とする一方、県内の強豪・明豊は全国制覇を狙っていると指摘。「ライバルは、そこにとどまっていないしね」と戒めた。初日は好印象だったという守備も、実戦を想定した走塁を見ると評価が変わった。「昨日見ていた時は、ホントに一歩なんだなと思ったけど、今日はちょっと距離のある一歩だなとも思った」と語り、「それじゃ壁を越えられない」と厳しく指摘した。
同校は学業との両立で練習時間が平日2時間、休日4時間に限られる。「練習量増やしても、やっている気になる練習は要注意」と語り、限られた時間こそ質を高める必要性を強調。打撃練習でも一人ひとりの質問に応じ、基本となる形の習得を求めた。
指導の最後には、部員から強い人間の条件を問われた。「強い人間かぁ。耐える人かな」と答え、苦しい経験に耐える力と、目的へ飛び込む「胆力」を挙げた。「野球は通過点にすぎない」と語り、球児たちが将来、社会を引っ張る人間になることへの願いも伝えた。
3年生の宮城凌成外野手(18)は、父親が20年前にイチロー氏の打撃投手を務めた縁もある。「自分たち、明豊に対しての意識が低かった」と反省。2年生の本田唯人捕手(16)は「もっと自分たちで厳しさ求めてやらないといけない」と決意を新たにした。球児たちに残されたのは、教えを来夏の結果につなげる宿題だ。












