ソフトバンクの東浜巨投手(36)がトレードで広島に移籍することが決まり、6日に両球団から発表された。

 2012年ドラフト1位で入団した右腕は、17年に最多勝のタイトルを獲得。ここまで通算180試合に登板して76勝46敗、防御率3・30の成績を残してきた。今季は入団以来初となる一軍登板なしに終わり、リーグ3連覇を達成したチームの輪に加わることができなかった。球団は「功労者」である右腕の新天地での活躍を後押しすべく無償トレードで基本合意。この日、正式発表に至った。

 長いキャリアの中で貯金「30」をもたらし、負け越したシーズンはわずかに2度。伝家の宝刀・シンカーを武器に、粘り強くチームを勝利に導いてきた。先発としての矜持を持ち続けてきた右腕。今シーズン序盤、右肩の不調に悩まされた。ちょうど一軍は先発コマ不足に直面していた時期。「こういう時だからこそ、チームの力になりたいという気持ちが強かった。でも、そう思えば思うほど気持ちが急いて空回りするようだった」。チーム事情、自らの立ち位置を理解していた。これまで経験のなかった肩の違和感。気になる箇所をかばったり、無理をすれば、別の場所に支障が出る。離脱期間が延びる悪循環にも、グッと歯を食いしばってリハビリに努めた。

 落胆は大きかったはずだ。だが、右腕は「投げやりな姿だけは絶対に見せてはいけないと思ってやっていた。強いホークスをつくってきた先輩方の姿勢を見てきたから。『常に見られているんだ』という気持ちで目の前のことに集中しようと思った」と、酷暑で知られる福岡・筑後市のファーム施設で黙々と走り込んだ。「時代の流れもある。自分で『量』を確保しないと」。変わらぬひたむきな姿勢は異彩を放っていた。

 3か月に及ぶ戦線離脱を経て8月に実戦復帰。登板ごとにイニング数と球数を伸ばし、9月18日のファーム・リーグ西地区の阪神戦では7回4安打1失点の好投を見せた。

 10勝を挙げた22年を境に登板機会は減少。ホークスに限らず、世代交代はどの球団も喫緊の課題だ。次代を担う若手により機会を与えながら、一軍戦力に育て上げるのがセオリー。今季はともに12勝をマークした前田悠、松本晴らが先発枠に定着した。12球団屈指ともいえる陣容を誇るホークスにあって、実績十分の東浜でさえ先発機会を得ることは難しい状況となっていた。

 気力、体力ともに十分。結果を叩き出すための居場所を求めていた中で、再建を期すカープから声がかかった。赤を基調とする戦闘服に身を包み、たぎる思いをぶつける。