世界一の歓喜からわずか数日しか経過していないものの、ブルワーズの〝奇跡の主砲〟に早くも別れの足音が迫っている。今季の快進撃を支えたジェイク・バウアーズ内野手(31)が、FAで流出する可能性が高まっているのだ。

 米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は、元GMで米スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のジム・ボウデン氏による「バウアーズはおそらく退団する」との見解を紹介。世界一を成し遂げたチームが、早くも大きな岐路に立たされている。

 昨季まで控えに甘んじていた左打者は、今季序盤に相次いだ故障者の穴を埋める形で台頭。144試合で打率2割6分6厘、26本塁打、86打点、出塁率3割8分9厘と自己最高の成績を残した。ドジャースを4連勝で撃破したナ・リーグ優勝決定シリーズでも、スネルから勝ち越し2ランを放つなど大暴れ。MVPに輝き、球団初のワールドシリーズ制覇にも貢献した。

 そんな功労者に、球団は1年2315万ドル(約36億7000万円)のクオリファイング・オファーを提示し、17日までの回答を待つ。だが、米スポーツ専門局「ESPN」のカイリー・マクダニエル氏は3年総額5250万ドル(約83億2000万円)の大型契約を予想した。対するブルワーズには今季マイナーで48本塁打を放った有望株アンドリュー・フィッシャーが控える。現状は三塁が主戦場で即座の後継は難しいものの、ボウデン氏は将来的な一塁の後任に指名。資金力で競り合うより、世代交代を選ぶとの読みだ。

 では、新天地はどこか。ドジャースはかつて苦しめられた強打者を取り込む構図が刺激的だが、一塁にはフリーマン、指名打者には大谷翔平がいる。ヤンキースも2023年に打率2割2厘、12本塁打を残した古巣ながら、一塁にベン・ライス、指名打者にスタントンを擁し、再獲得の優先度は高くなさそうだ。

 むしろ一塁の打力補強が急務のメッツ、ツインズに加え、パドレスやダイヤモンドバックスが現実的な候補に挙がる。守備力と今季の成績の再現性には懸念が残るが、一気に市場価値を高めた遅咲きの大砲。優勝パレードでトロフィーを掲げた男が、今度は争奪戦の主役になろうとしている。