チームが沈んでも、エースの輝きは失われなかった。昨季ドジャースと世界一を最後まで争ったブルージェイズは今季、79勝83敗と失速。だが、そんな失意のチームからア・リーグのサイ・ヤング賞最終候補が誕生した。昨オフにパドレスから加入したディラン・シーズ投手(30)だ。2日(日本時間3日)、最終候補3人の一角に名を連ねた。
7年総額2億1000万ドル(約332億円)の大型契約で迎えられた右腕は、移籍1年目から期待に応えた。29試合に先発して11勝6敗、防御率2・40、169回で239三振を奪った。9イニング当たり12・7奪三振は球団新記録。1試合2桁奪三振も9度を数え、シーズン239奪三振は球団歴代4位に食い込んだ。上位にいるのは、いずれもサイ・ヤング賞受賞歴を持つロジャー・クレメンスとロビー・レイだけだ。
米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は「シーズは問題の一つではない」と評価。投手陣に不安を残した球団にとって、圧倒的な奪三振能力を見せた右腕は数少ない明るい材料となった。
ただし、戴冠への道は険しい。シーズは終盤に球速が低下し、右肩の炎症で負傷者リスト(IL)入りしてシーズンを終えた。ライバルのヤンキース右腕カム・シュリットラーは193回2/3を投げてリーグトップの防御率1・95。ガーディアンズのパーカー・メシックも186回1/3、防御率2・56を記録した。稼働量で見劣りするシーズの受賞は厳しい情勢といえそうだ。それでもロス・アトキンスGMは「心配はしていません」と語り、来季への期待を示している。
そして、希望はマウンドだけではない。今季のブルージェイズでは、同じく移籍1年目の岡本和真内野手(30)が33本塁打、92打点で両部門のチームトップ。主砲ウラジミール・ゲレロ内野手の9本塁打、57打点を大きく上回り、打線の中心を担った。ゲレロの復調も欠かせないが、投のシーズ、打の岡本という〝新たな2枚看板〟の存在は、再建への確かな足掛かりとなる。両者がそろって真価を発揮すれば、昨季の世界一寸前の熱狂を取り戻すことも夢ではない。












