笑い話で済ませるには、あまりにも痛すぎる。ブルージェイズで今、選手の〝急所〟を守るファウルカップを着用するか否かという、極めてデリケートな問題が浮上している。
一石を投じたのは、カナダのスポーツ専門メディア「スポーツネット」が27日(日本時間28日)に報じた記事だ。発端は25日(同26日)のロイヤルズ戦(ロジャース・センター)。8回、打席に立ったアーニー・クレメント内野手(30)がマウンド上の相手4番手右腕ネイト・ピアソンの98マイル(約158キロ)のシンカーをファウルすると、跳ね返った打球が股間を直撃した。クレメントは1分以上も倒れ込みながら試合には残ったが、「今まで一度も着けたことがない。今さら変えるつもりもない」とファウルカップを着用しない意向を貫いた。
シュナイダー監督は試合後に「明日はプロテクターを着けて来いよ」と冗談交じりに声をかけたものの、本人は不快感を理由に首を縦に振らない。チームメートの30歳外野手マイルズ・ストローも8歳で着用をやめており「硬い素材が股間にある感覚を嫌う選手は少なくない」と説明。シュナイダー監督は、現在ファウルカップを着けているメジャーリーガーは「10%未満では」と推測している。同監督が現役時代だった2000年代初頭は「ポジションを問わずほぼ全員が着用していた」というから、隔世の感がある。
これはブルージェイズだけの話でもない。ヤンキースのジャズ・チザム・ジュニアも数か月前、打席で同様の災難に遭いながら、その後も着用しない考えを示した。一方、ブルージェイズ捕手のブランドン・バレンズエラは少年時代から習慣化し、捕手として出場しない時や打撃練習でも装着。「それがないと裸になったような気分」と語る徹底派だ。
前出のストロー自身もプロ1年目、走塁中に送球の上へ転がり込んで急所を痛打し、約10分も息ができず吐き気を覚えた経験がある。それでも「長い野球人生で一度だけだった」として、着用には否定的だ。安全性と動きやすさのどちらを優先するのか。正解は選手ごとに違う。
移籍1年目の岡本和真も奮闘中のチームは26日(同27日)にロイヤルズを3―0で下し、65勝69敗。ア・リーグ東地区最下位ながら、第3ワイルドカードの圏内にいるガーディアンズとは3ゲーム差で、ポストシーズンへの望みは残っている。1球、および1つの負傷がシーズンを左右しかねない正念場だけに、決して笑い飛ばせるテーマではない。勝負の秋を生き残るためにも、文字通り〝身を守る選択〟が問われている。












