1年目の衝撃だけで、大型契約を急ぐ必要はない。ホワイトソックスで1年目から想定以上の存在感を放つ村上宗隆内野手(26)に、早くも大型契約延長論が浮上している。米メディア「ジャスト・ベースボール」は21日(日本時間22日)、村上との契約を今季中にまとめるべきかを分析。結論は「急ぐ必要はない」。むしろ2027年まで見極めることが、球団にとって合理的だと論じた。クリス・ゲッツGMも4月下旬の時点で延長交渉は始まっていないとし、「先走って物事を進めたくない」との姿勢を示していた。

 村上は2022年にヤクルトで打率3割1分8厘、56本塁打、134打点で3冠王に輝いた実績を引っさげて渡米。今季はシーズン中にケガで戦列を離れた時期がありながら、29本塁打でチームトップに立つ。空振りの多さ、ストライクゾーン内のコンタクト率がリーグ最低という弱点を抱える一方、フライボールを捉えた際の破壊力は屈指で、打線の中軸として十分な見返りを生んでいる。

 価値はグラウンド内だけではない。球団はメジャー初本塁打を記念したボブルヘッドを発売し、本拠地では村上を題材にした「寿司プッシュポップ」が最初の3試合で2000個以上売れた。球団幹部は国際的なブランド拡大につながる存在と評価。クラブハウスでもチームミーティングに積極的に参加し、首脳陣や同僚から信頼を得ているという。

 それでも早期延長を急がない最大の理由は「時間」が球団側にあるからだ。村上は2年総額3400万ドル(約54億円)で契約し、27年も1750万ドル(約28億円)で保有できる。記事は延長の目安として5年1億4000万ドル(約223億円)、6年1億6000万ドル(約254億円)を挙げるが、まだメジャー1年目の選手に事実上のFA級価格を1年前倒しで保証するのはリスクが大きい。

 加えて現行の労使協定は今季終了後に期限切れを迎える。市場環境が読みにくいうえ、27年には各球団が村上の弱点をさらに突いてくる。若手の台頭で将来のロースター構成や守備での役割が変わる可能性もある。

 待てば、もう一度30本塁打級を放った際に〝値札〟が上がる危険はある。それでも、今すぐ札束を積むより、もう1年の適応力を見届けてから決断する――。村上を高く評価しているからこそ、ホワイトソックスには「焦らない勇気」が求められている。