「不振」の二文字では、もう片付けられない。ナ・リーグの昨季サイ・ヤング賞右腕に起きている異変が、いよいよ深刻さを増している。パイレーツのポール・スキーンズ投手(24)は19日(日本時間20日)、本拠地PNCパークでのタイガース戦に先発したが、4回1/3を4安打3失点、4四球で降板。チームは9回に逆転サヨナラで4―3と勝ったものの、自身は直近5試合連続で6回を投げ切れず、防御率も3・95まで悪化した。球団は登板間隔を通常より空けて立て直しを促したが、明確な反転材料は得られなかった。

 米メディア「ファンサイデッド」は20日(同21日)、「スキーンズの衝撃的な退行は、もはや無視できない」と警鐘を鳴らした。2024年に新人王、25年にはサイ・ヤング賞を獲得。メジャー最初の2年間は剛速球と精密な制球で打者を圧倒し、次代の球界を背負う存在とみられてきただけに今季の落差はあまりにも大きい。

 最も目につくのは球速低下だ。速球の平均は約97マイル(約156キロ)まで落ちている。ただ、同メディアが強調するのは問題がそこだけではない点だ。被打率は0・229、被OPSは0・668。投手として見れば依然として優秀な水準ではあるものの、メジャー最初の320回2/3で記録した0・193、0・555からはいずれも大幅に悪化している。一方で奪三振率は29・8%と昨季とほぼ変わらず、単純に「球威が落ちたから打たれている」とも言い切れない。

 より不気味なのが四球だ。四球率は昨季の5・7%から7・2%へ上昇。19日も4四球を与え、本人も「四球はフラストレーションがたまる。誰だって打者を歩かせたくはない」と漏らした。4四球以上は最初の77登板で5度だけだったが、直近4登板では3度。かつての圧倒的な球威だけでなく、投球全体の歯車が少しずつ狂っている印象は否めない。

 それでも最大の懸念は、原因がはっきりしないことだ。球団もスキーンズ本人も負傷を示す説明はしておらず、明確な故障の裏付けもない。体の異常が原因なら治療や休養という道筋も見えるが、そうでないまま成績だけが下降しているからこそ厄介だ。

 本人は直近の登板について「良いこともたくさんあった」と前を向く。だが、サイ・ヤング賞右腕がなぜ突然ここまで変わったのか。その答えが見えない限り、ピッツバーグを覆う不安は、防御率の数字以上に重いままだ。