主砲のミステリアスな〝失踪〟は、数試合の欠場だけでは終わらない可能性まで帯びてきた。ダイヤモンドバックスのケテル・マルテ内野手(32)を巡る異例の騒動が、新たな局面を迎えた。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は、マルテが20日(日本時間21日)にマイク・ヘイゼンGMと話し合う予定だと報じた。だが、チームへの復帰時期はおろか、本当に戻れるのかさえ不透明なままだ。

 マルテはレッドソックスとの敵地3連戦にチームとともにボストン入りしながら、フェンウェイ・パークには姿を見せなかった。欠場の許可を求めたわけでも、球団から許可を得ていたわけでもなく、17日(同18日)に制限リスト入り。左膝の検査のためアリゾナへ戻された。チームメートの正捕手モレノが本人にメッセージを送っても返信はなかったという。

 しかもマルテの失踪騒動は、今回が初めてではない。昨年も球宴後、チームの試合が行われている最中にドミニカ共和国へ向かい、制限リスト入りした経緯がある。ロブロ監督は「昨年は少しだけ事前に知らされていたが、今年は全く知らされていなかった」と困惑を隠さなかった。

 それでもマルテの価値は絶大だ。過去8シーズンで3000打席以上に立った104選手のうち、19日(同20日)時点で通算OPS・858を上回るのは13人だけ。球団史でも代替選手に対する勝利貢献度(WAR)はランディ・ジョンソン、ポール・ゴールドシュミットに次ぐ3位。2023年のナ・リーグ優勝決定シリーズMVPでもある。

 チームは67勝61敗で、ナ・リーグのワイルドカード最後の枠を争うパドレスを1ゲーム差で追う。まさに最大戦力を必要とする時期だが、ロブロ監督はマルテを「不可欠」とまでは言わず、「誰がラインアップに入ろうとも、われわれは大丈夫だ」と言い切った。

 記事は、球団が契約関係を解消したい場合の「逃げ道」としてトレードにも言及する。ただ、マルテは2031年まで総額1億1650万ドル(約185億円)の契約を残し、今季に完全なトレード拒否権も取得した。簡単に放出できる状況ではないが、直接対話でも関係修復に至らなければ、将来的な〝別離〟が現実味を帯びる余地は残る。

 ポストシーズン争いの行方だけではない。20日のヘイゼンGMとの面談は、マルテが再びユニホームを着るための第一歩となるのか、それとも球団史に残るスターとの別れへ向かう分岐点となるのか。注目は、その一言一句に集まる。