捨てる神あれば拾う〝虎〟あり――。ワイルドカード争いで息を吹き返しつつあるタイガースが、ドジャースと妙な因縁を持つ「お払い箱」をひっそり拾っていた。米経済紙「フォーブス」は20日(日本時間同日)の記事で、タイガースがマイケル・シアニ外野手(27)を14日(同15日)にマイナー契約で獲得したことに焦点を当てた。そのタイガースは19日(同20日)のパイレーツ戦に3―4で逆転負けし、61勝66敗。ア・リーグのワイルドカード最終枠まで1・5ゲーム差と、なお射程圏にいる。

 シアニの今季は、まさに流浪の一年だ。昨年12月にドジャース入りしたが、今年1月、球団がカイル・タッカー外野手(29)を4年総額2億4000万ドル(約381億円)で獲得すると、ロースター枠を空けるためにDFAとなった。その後ヤンキースに拾われたものの再びDFAとなり、ドジャースへ出戻り。5月にも再度DFAとなってオリオールズへ移ったが、6月にはまたしてもDFAとなった。しかも今季メジャー唯一の出場は、そのオリオールズで代打に立った6月21日(同22日)の古巣ドジャース戦。1打席に立って凡退の翌22日(同23日)に再び枠を外れ、8月に自由の身となった。

 皮肉なのは、シアニを最初に押し出した大物タッカーが今、ロサンゼルスで猛烈な逆風を浴びていることだ。大型契約で新戦力の目玉となりながら打撃不振に陥り、直近では25打数連続無安打。打率2割3分、11本塁打、OPS0・692と期待値を大きく下回り、本拠地ではブーイングまで浴びている。

 一方のシアニも打撃が売りではない。メジャー通算160試合でOPS0・547と振るわず、今季のマイナーでも苦戦。それでもフォーブスが注目するのは、守備力とスピードだ。4、5番手の外野手として終盤の守備固めや代走で使えるタイプで、1点が生死を分ける9月の争いでは、その脇役力こそ価値を持つ。ポストシーズン争いの行方次第では昇格候補になり得ると分析した。

 しかもタイガースは今夏、タリク・スクバル投手(29)をドジャースへ放出したばかり。ドジャースに押し出されたシアニが、そのLAへ絶対エースを送り出した古巣で再起を期す。2億4000万ドル男が苦しむ横で、マイナー契約の男が10月への切り札となれば――。これほど痛烈な「因縁返し」もない。