「PCA優勢」の空気に、真っ向から待ったがかかった。ナ・リーグMVP争いでカブスのピート・クロウ=アームストロング外野手(24)が猛追する中、米メディア「SB NATION」は20日(日本時間21日)、ドジャースの大谷翔平投手(32)こそ「明白なMVP」と断じた。
争いはここにきて一気にヒートアップしている。PCAは華麗な守備に加え、40本塁打&40盗塁を視野に入れる活躍で評価を急上昇させた。同メディアによると、20日掲載時点の米大手スポーツブック「FanDuel」のMVPオッズはPCAがマイナス165、大谷がプラス140。最近の勢いを反映し、PCAがアメリカンオッズでわずかに先行する状況となっている。
だが、「SB NATION」で記事を執筆したオリバー・フォックス記者は「この争いは世間で言われているほど接戦ではない」と主張。最大の根拠に挙げたのが、大谷の二刀流が生み出す〝価値〟だ。大谷は7月上旬に投手としての登板から離れるまで82回3分の2を投げ、防御率1・79、投手WAR3・0を記録。打撃でもOPS0・949、wRC+155を残している。
PCAの40―40挑戦も決定打にはならないとした。過去に40本塁打&40盗塁を達成した6人のうち、MVPに輝いたのはホセ・カンセコ氏、ロナルド・アクーニャ(ブレーブス)、大谷の3人。バリー・ボンズ氏、アレックス・ロドリゲス氏、アルフォンソ・ソリアーノ氏は受賞を逃しており、歴史的記録だけでMVPが決まるわけではない。
走塁の評価にも踏み込んだ。PCAの30盗塁超がチームにもたらした得点価値は約2点にとどまる一方、大谷は投球だけで21得点分の価値を生み出したと指摘。PCAがfWARで8・4と大谷の7・1を上回っている点についても、その守備評価の基礎となるOAAではPCAが突出する一方、別指標のDRSではメジャー10位で、物差しによって評価が変わると論じた。
そして同記者は、PCAの一流の守備と走塁よりも「半シーズンの神業的な投球」を選ぶと明言。「全盛期のジェイコブ・デグロム(レンジャーズ)の投球と、全盛期のポール・ゴールドシュミット(ヤンキース)級の打撃を1人で実現しているようなものだ」ともたとえた。
数字の比較だけでは収まらないMVP論争。PCA旋風が吹き荒れる今だからこそ、二刀流をどう評価するかが問われる。「SB NATION」が突きつけた結論は揺るがない。「最も価値のある選手」はやはり大谷だという主張が、果たして世論に結びつくかどうか大いに注目される。












