暑さに負けない〝サボテン人間〟が新たな一歩を刻んだ。「マイナビオールスターゲーム2026」第1戦(28日・東京ドーム)で全セの2番手として登板した巨人・井上温大投手(25)は、1回4安打2失点。球宴初登板は数字だけを見れば〝ほろ苦デビュー〟も、球界を代表する強打者との真剣勝負は若き左腕にとってかけがえのない経験となった。

 監督選抜で初出場した左腕は、全セが2―0とリードした3回に登板。先頭打者を三振に仕留める好スタートを切ったが、万波(日本ハム)、近藤(ソフトバンク)、レイエス(日本ハム)、栗原(ソフトバンク)に4安打を浴びた。同点に追いつかれながらも最後は栗原の二塁打で本塁を狙った一走・レイエスが中継プレーで憤死し、勝ち越しは許さなかった。

 試合前に「三振かホームランかっていうぐらい、全力で勝負を楽しめたら」と語っていた通り、6人の打者にほとんど直球で挑む真っ向勝負。結果以上に、球宴の舞台で勝負の醍醐味(だいごみ)を存分に味わった。

 29日の第2戦は富山市民球場へ舞台を移す。空調の効いた東京ドームから一転して屋外での開催。富山は湿度が高く、立山連峰を越えて吹き下ろすフェーン現象が発生すれば、気温が40度近くまで上がることもある厳しい環境だ。

 だが、そんな暑さも井上にとってはなんのその。猛暑で知られる群馬・前橋市で育ち、これまで熱中症になったことがない左腕は、乾いた大地で生き抜く〝サボテン〟のような適応力を備える。東京ドームでの練習でも練習着に大きな汗染みをつくり、首筋に汗の粒を光らせるほどの汗っかき。それだけに、自らの体と汗との付き合い方を誰よりも心得ている。

 先発試合では「汗が腕を伝ってボールに垂れてきてしまうので」と、チームスタッフの協力を得て、毎イニング、汗でぬれたユニホームを乾かして着替える徹底ぶり。6月下旬からは携帯扇風機も常備し、暑さに振り回されるのではなく、備えで乗り越える術を身につけている。

 外出時に着飾っても「汗がTシャツにしみちゃうので、それは困る」と苦笑いする一方、夏の暑さには「徐々に暑くなっていくものだから自然と慣れる」とグーサイン。球宴で流した汗も、真夏を乗り切る力に変わる。〝サボテン人間〟井上の夏は、ここからさらに熱くなる。