投手陣の綻びを、カブスは深夜の一手で縫いにいった。カブスが24日(日本時間25日)、メッツからデビッド・ピーターソン投手(30)を獲得するトレードに動いた。交換要員は球団有望株ランキング13位のコール・マティス内野手(22)。同日の敵地メッツ戦でダブルヘッダーを連勝した直後に伝わった深夜の異例補強は、単なる戦力追加ではない。地区3位ながらワイルドカード圏に踏みとどまるチームが、秋への細い道をつなぐための緊急措置だった。

 米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は同日、すぐさま〝深夜トレード〟の深層についてクローズアップ。対戦相手との商談成立という観点でみても、このトレードは確かにレアケースと評していい。その背景にあるのは、看過できない投手陣の非常事態だ。カブスは同日、エドワード・カブレラ投手(28)とベン・ブラウン投手(26)を15日間の負傷者リスト(IL)に入れた。すでにジャスティン・スティール投手(30)、ケイド・ホートン投手(24)、ジェイムソン・タイヨン投手(34)らも離脱中で、救援陣を含めれば故障者リスト入りの投手は実に11人に及ぶ。マシュー・ボイド投手(35)の復帰見込みはあるとはいえ、ローテの穴を精神論で埋められる段階は過ぎている。

 ピーターソンは今季68イニングで防御率6・09と苦しみ、メッツでは先発ローテから外れていた。数字だけを見れば危険な賭けにも映る。だが、2024年には121イニングで10勝3敗、防御率2・90を残した実績があり、今季も守備の影響を除いて投手の実力を見る指標「FIP」は3・85。実際の防御率6・09より2点以上低く、数字ほど内容が悪くない可能性もある。ゴロ率52・9%もリーグ上位クラスだ。守備に不安を抱えるメッツから、OAAやFRVといった守備指標でもメジャー屈指の数値を残すカブスへの移籍は、ゴロを打たせるタイプのピーターソンにとって追い風になり得る。

 カブスは鈴木誠也外野手(31)らを中心に攻撃力で踏ん張っているが、ポストシーズンを見据えれば得点力だけでは足りない。24日(同25日)のメッツ戦登板で今季5勝目を飾った今永昇太投手(32)もローテを支えている一方、周囲の離脱が重なれば負担は増すばかりだ。地区首位ブルワーズとは差があり、背後にはパドレス、マーリンズなどが迫る。だからこそ、この時期に有望株を差し出してでも、イニングを食える左腕を確保する必要があった。

 派手な大物獲得ではない。それでも、カブスの深夜トレードは現実を直視した補強だ。鈴木と今永の奮闘を秋につなげるため、崩れかけた投手陣に打った一手。その成否が、ワイルドカード争いの行方を左右しても不思議ではない。