二刀流の神話だけでは、投手最高峰の票は動かない。

 ドジャースの大谷翔平投手(31)が24日(日本時間25日)、敵地ターゲット・フィールドで行われるツインズ戦で今季13度目の先発マウンドに上がる。ここまで12先発で7勝2敗、防御率1・47、73回3分の2を投げて78奪三振、WHIP0・88。数字だけを切り取れば、キャリア初のサイ・ヤング賞を狙える快進撃に見える。

 だが、米メディア「スポーティングニュース」は、初受賞の可能性について厳しい見立てを示した。理由は明快だ。ナ・リーグの先発投手陣が、あまりにも分厚い。

 実際にMLB公式サイトが発表した最新のサイ・ヤング賞予想投票でも、大谷は4位にとどまった。1位はブルワーズのジェイコブ・ミジオロウスキー投手(24)。1位票29票を集め、総得点153ポイントでトップに立った。5月1日(同2日)から6月12日(同13日)までの8先発で防御率0・17という異次元の投球を見せ、今季全体でも防御率1・45、138奪三振、WHIP0・75、被打率1割4分6厘でメジャー全体をけん引している。大谷の23日(同24日)時点での防御率1・47も驚異的だが、投票では「同等にすごい」では足りない。登板数、奪三振、支配力で上回るライバルがいる以上、評価の物差しは冷酷になる。

 2位にはフィリーズのクリストファー・サンチェス投手(29)、3位にはパイレーツのポール・スキーンズ投手(24)が入った。このデータを基にスポーティングニュースが踏み込んだのは、大谷の「少なさ」だ。大谷の過去12先発は、ミジオロウスキーより3試合、サンチェスより4試合少ない。サイ・ヤング賞は物語性を競う賞ではなく、あくまで投手としてのシーズン支配力を問う賞。打者としてドジャース打線を背負う価値は絶大でも、それはMVP投票では強みになっても、投手賞の不足分を埋める免罪符にはなりにくい。

 もちろん、二刀流の常識を壊してきた大谷だけに、ここから逆転の余地が消えたわけではない。だが、米主要メディアの評価はすでに「称賛」と「受賞可能性」を切り分けている。今季の大谷は最高級の投球をしている。しかし、ナ・リーグの賞レースでは、最高級であるだけでは届かない。ツインズ戦登板で必要なのは単なる好投ではなく、票田の空気を変えるほどの圧倒的な投球内容に尽きる。